部落解放運動において画期となったのが、1922(大正11)年の全国水平社の結成だった。この時に作成されたのが「水平社宣言」だが、同宣言の意義と、同じくその後の解放運動に欠かすことのできない「解放歌(水平歌)」とは、どのようなものであるかを改めて、分かりやすく説いたのがこのCDブックである。
文章を担当したのが守安敏司(水平社博物館館長)、朝治武(大阪人権博物館学芸課長)と私、藤田正(Beats21)。守安は「謎と感動の全国水平社創立宣言」と題して、この宣言がどのように起草され、広まったかを書いている。朝治武は、「目標を示した全国水平社創立綱領」「運動方針としての全国水平社創立大会決議」の2本。守安も朝治もていねいな筆致で、宣言の意義や逸話を伝えてくれる。
私の原稿は現在「解放歌」として知られている歌の成立と、その周辺にたくさんあった同様の反差別と団結を訴える歌が、どんなものであったかをテーマにしている(初出は『メッセージ・ソング』だが改稿した)。
現在の解放運動にとっての巨大な指針である水平社宣言の文面を、ハードコア・ラップの先駆けのようだと書いたのは、おそらく私だけだろう。
添付されたCDは、その「解放歌」や関連する「母は闘わん」など6トラック。ソウル・フラワー・モノノケ・サミットの「水平歌」「農民歌」などのメドレーも収録されている。
部落解放運動って何だ? と思っている人にこそ、ぜひ読み(&聞いて)もらいたいCDブックだ。
(藤田正)
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