■いち抜けた男の発見「エンヤトット」
岡林信康。1946年、滋賀県近江八幡市に生まれる。父はキリスト教の牧師である。
66年、同志社大学神学部に入学する。しかし、東京のドヤ街(山谷)に入り込んだ体験をきっかけとしてドロップアウト。
自分でも歌をうたおうと決めたのは高石友也のコンサートがきっかけだった。
69年、アルバム『私を断罪せよ』を発表し、一気に日本のフォークにおけるヒーローと目されるようになる。と同時に、世間の限りなく高い評価と「本当の自分」とのギャップに深く悩みはじめる。
71年、『俺らいちぬけた』を発表。以後、5年ほど岐阜などの山村に引きこもる。
70年代後半は、美空ひばりとの交流が話題になるなど演歌に傾倒し、毎年コンスタントにアルバムを発表する。
80年代に入り、日本の祭り囃子や伝統的歌謡への関心が深まり、日本〜アジアのリズムを探索した結果、「エンヤトット」のリズムを提唱しはじめる。
98年、歌手生活30周年記念作品『風詩(かぜうた)』を発表。
岡林は今、日本土着のリズム、アジア的な味わいを現代に生かそうとする「エンヤトット」で、全国を回っている。