被差別部落に生まれた名曲「
竹田の子守唄」。この歌を、地元で歌い継いでいる女性たちが、ついに録音をはたした。ムラの遺産を、自分たちの手で。そんな長年の夢が、1枚のCDとなって2月初旬にかなう。
5曲入りCD『
竹田の子守唄 ふるさとからのうたごえ』は、日本のゴスペル・ブームの火付け役、
亀渕友香が歌唱指導を受け持ち、ボーナス・トラックには
古謝美佐子、ネーネーズのプロデューサーとして知られる
佐原一哉が編曲・伴奏を付けた「TAKEDA LULLABY」が収録されるという本格的な作品だ。
赤い鳥で知られるヒット曲ではなく、地元・竹田に残る本来の歌を、そしてその歌の背景にあるムラの思いを、みんなに聞いてほしい。今回の企画は、そのために2005年の秋から打ち合わせが始まり、録音は年が明けた1月に2回にわけて行なわれた。録音は地元のコミュニティ・センターのホールである。
収録曲は、「
竹田の子守唄(元唄)」「竹田こいこい節」「竹田長持唄」「
竹田の子守唄(元唄)the original tape」、ボーナス・トラックとして「TAKEDA LULLABY」という構成だ。前2曲は、有名なヒット曲のルーツである地元の子守唄。長持唄は、かつて結婚式に歌われたものだが、歌詞には今風の内容が付け加えてあるところがミソだ。
4曲の「オリジナル・テープ」とは、これまでごく限られた人しか耳にしたことがなかった古老が歌う貴重な「元唄」である。録音の状態は良くないが、実に味わい深いボーカルだ。
ラストの「タケダ・ララバイ」は、主人公である部落解放同盟改進支部女性部のボーカルと、
佐原一哉のコラボレーション。切なくも懐かしい元唄が、これほどまで現代風に美しく輝きを増すのは、驚きである。
CD『
竹田の子守唄 ふるさとからのうたごえ』は、まず最初に、2月11日(土・祝)の、毎年恒例となった「
ふしみ人権の集い」(京都市伏見区)で発売される。
なお、Beats21ではこれまでも「
竹田の子守唄」の文化的な背景を紹介してきたが、今回のCD化についても順次、記事をアップしてゆく予定だ。