2005年1月16日の日曜日、阪神淡路の大震災で深刻な被害を受けた地域の一つ、神戸市長田区の長田神社で「つづら折りの宴 in KOBE NAGATA」が開かれた。
長田神社での「つづら折り」は9年前(1996年1月21日)にも行なわれ1万数千人の観客が集まったという。今回はそこまでの規模ではなかったものの、震災からの10年を印すイベントとして若い人からお年寄りまで、たくさんの人たちが詰めかけた(写真)。
快晴の空の下、犠牲者の鎮魂歌と地域の未来のためライブを聞かせたのは、
ソウル・フラワー・モノノケ・サミット、山口洋、小嶋さちほ、ちんどん通信社、森俊光ほか。午前11時から夕方の6時まで、入れ替わり立ち代り、実に多様な芸能、音楽が披露された。ちなみに、ちんどん通信社はNHKのテレビ・ドラマにもなった新世代のチンドン・バンド、森俊光は奄美歌謡のベテラン、パクウォンとゆかいな仲間たちはサムルノリ、小嶋さちほは沖縄からやってきて、アイルランドの大御所ドーナル・ラニーと共演した。もちろんみんな手弁当である。
トリを取るのは「つづら折りの宴」の中心的バンド、モノノケ・サミットだ。「聞け万国の労働者」「アリラン」(長田で一番にリクエストが多い歌だそう)、「満月の夕」「復興節」「さよなら港」と、たった5曲は残念だったが、ここ長田をきっかけに結成されたバンドだけに、観衆と一体になったプレイには相当の迫力があった。
震災から10年が経過し、表通りは小奇麗に「整理」された神戸だが、罹災者の身心の回復を含めまだまだ復興には遠い。こういった催しは、主催者、関係者だけでなく地域の理解がなくては成り立たないが、問題の再確認のために、あるいは「仲間たち」の存在を楽しく確認するという意味でも大切なことのはずである。
「つづら折りの宴」の金田真須美、伊丹英子(モノノケ・サミット)ほか、みなさん、お疲れさまでした。
(藤田正)
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