DVD『嘉手苅林昌追善公演 白雲ぬ如に…』
 沖縄の島唄は盛んである。
 …とは、よく言われるけれど、実際はどうなのだろう。日本各地に三線教室ができて、各県各町にある沖縄料理屋ではいつも島唄が流れている。でも、実際のところは、空洞化が始まっているんじゃないだろうか。「長寿の邦・おきなわ」というフレーズのウソにみんなが気づいたのと同じように、シマの伝統歌は今「ちょっとヤバいんじゃないの?」的な状況にあって、そのボロが見え隠れし出している。
 昨年(2009年)から始まった「コザ・てるりん祭」も、こういった危機感を背景にしていることは間違いない。第1回目の「てるりん祭」は、照屋林助や嘉手苅林昌などの先人たちに捧げられたイベントでもあったが、そんな気運が高まるのもやはり「ヤバい」と感じている人が増えているからだ。そして第1回「てるりん祭」から約半年後の2009年11月20日、コザ(沖縄市)の「ミュージックタウン 音市場」で開かれた「嘉手苅林昌追善公演 白雲ぬ如に…」も、まさにそれだった。パーシャクラブの上地正昭やよなは徹といった後輩たちが汗をかいて走り回った結果、このように美しく、嘉手苅林昌師への心のこもったイベントになったのである。DVD『白雲ぬ如に…』は、その様子をほぼすべてカメラに収めた。
 息子である嘉手苅林次の静かな「下千鳥(さぎちじゅやー)」から始まるこのライブ映像は、カディカルさんがどれほどのシンガーであったかを、歌と語りと、さらに爆笑!暴露トークにより徹底して我々に伝えてくれる。知名定男が総監督を務め、女カディカルとまで言われた大城美佐子や、「好敵手」として覇を競った登川誠仁、大城と同じように長い間一緒に歌ってきた饒辺愛子、コザのボスの一人である松田弘一、そして唯一人の若手代表であるよなは徹と、みんなが嘉手苅林昌ゆかりの歌を披露する。
 温かな、このDVDを観ながら、島唄とは何であるかを考えてみたい。なおライナーノーツはぼくが担当させてもらった。
(文・藤田正)
 
嘉手苅林昌追善公演 白雲ぬ如に…』
 
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( 2010/04/16 )

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