「ロベルト・杉浦」
四月二八日(水)
ロベルト・杉浦のステージを久しぶりに見た。ロベルト・杉浦はこの20年ほどアルゼンチンやメキシコなどラテン世界で活躍してきたシンガーで、キューバで誰と共演、コロンビアでどのフェスティバルに出てウンヌンと言い出したら切りがない輝かしいキャリアを持っている。少し前、ひさしぶりに日本へ帰ってきたとき、ぼくは
岡本郁生から紹介されたのだが、一見、とてもそんな人とは思えなかった。大人しい。そして、1970年生まれとは思えない華奢で物腰の柔らかい青年のようなロベルトだったからだ。
でも歌となると、やはり「正体」が出る。アルゼンチン・タンゴで鍛え抜かれた「激情の表わし方」たるや、彼はやはり日本の歌手ではない。メキシコの歌もいい。彼はラテンの熱を持っている人だった。
4月25日は、東京の代々木上原で
ウィリー・ナガサキ&平田フミトによる「LATIN NIGHT」が開かれて、ゲストに招かれたロベルトとも会った。ロベルトは相変わらず腰の低いままの激情のシンガーだった。
彼はディープ演歌もお手のものらしい。そう、演歌もラテン音楽をの多大なる影響を抜きにして語ることはできないから、上手くこの両者がロベルトのノドの中でブレンドされてくれれば、日本においてもちゃんとした位置につけるとぼくは思うのだ。ビクターからメジャー・デビューも決まったとのこと。期待したい…なぜなら、これはラテン音楽にはまった人にはわかると思うけれども…ラテンは「幸せを歌いながら不幸について考える(あるいはそこへ降りて行く)」音楽だから。ロベルトの声は、そのことを知っている、からだ。
*トップ・ページの見出し用イラスト=
河村要助
ロベルト・杉浦、ピアノは平田フミト(Beats21.com)