「かぎやで風」
三月二十一日(金)
秘密練習は続いているのだった。
いわゆる民謡系と
古典音楽とは、こんなにも違うのかということも以前から知っているつもりだったけれど、実際に弦にふれることによってさらに分かるようになった。古典は、ちょっとすごいな。祝い事となれば必ずといっていいほど登場する「
かぎやで風節(かじゃでぃふうぶし)」にしても、よくできている。クールで色っぽい名作…となれば当然、ワシも名人たちのプレイをコピーしておるのだった。ただ、たしかに古典はすごいんだけど、こればっかりほめていると沖縄音楽全体の素晴らしさを見失いがちになるんだね。権威的で特権的な宮廷内にあってこそ洗練された
古典音楽だから、これによりかかるとヨーロッパ・クラシック音楽が一番と信じて疑わない人たちと変らなくなる。今や、ジャズもその傾向がある。
リフレインばっかしの
雑踊ソング(谷茶前=タンチャメーとか)のあの人間くさいリズム。あれこそが、ぼくらの故郷なんだ。