3月19日 しょうちゃんの蛇に三線/藤田正
「遁ぎれ、結婚」
 
三月十九日(金)

 
「遁ぎれ、結婚」と書いて「ひんぎれ、にーびち」と素直に読める人は、ウチナーンチュじゃないかぎりまずいないだろう。「遁ぎれ、結婚」は、作家の大城立裕が原作、演出が玉城満という新作の組踊で、沖縄では2005年に初演され、県外ではこの3月6日、7日の、@国立劇場(東京)が最初だった。
 
 
 琉球王朝の格調高い芸能である組踊を現代の喜劇に仕立てたのが「ひんぎれ」である。設定は1972年の本土復帰直前のコザ(現・沖縄市)、それも吉原だ。この、酒と歌と売春の街を舞台として、二人の女に沖縄と日本の行き先を暗示させる。一人は吉原で働く沖縄の女郎。もう一人は、海を越え契りを交わしたオトコを尋ねてやってきた東京の娘である。オトコとは博打にうつつを抜かす遊び人なのだが、彼は女郎が働く店のドラ息子でもあった。オトコは博打で負け、借金をかかえ、ヤクザ者に追われながらコザに戻ってくる。
「ひんぎれ」は、世代わりの沖縄にあって路上に生きる人たちの右往左往を、あるいは彼らの心の葛藤を、組踊ならではの超スローモーな語り口&舞い姿で表現してみせたのが面白かった。特に、アメリカ軍の統治が(まがりなりにも)終わろうとする寸前の沖縄における「日の丸」への絶大な期待、あるいは疑念といったものを、笑いと共にさらけ出してみせたのは意義深い。大きな日の丸を中心に歌い踊る主人公たちの姿は、未だに基地問題で揉め続ける2010年という「今」から見れば、現代沖縄の「原点」とも言えるものだろう。
 元りんけんバンドのフロント、笑築過激団の元団長、現在は沖縄県議である玉城満の演出は、彼の師匠である照屋林助の教えを受け継ぐものだった。組踊という沖縄の伝統芸能に敬意を払いながらも、その権威性を笑い飛ばす。常に底辺の人たちの視線から社会を見る。それらの鉄則を守りながらの「(沖縄よ)逃げろ=ひんぎれ!」というメッセージの重さ。いい舞台を見せてもらった。
*取材日=2010年3月7日、「国立劇場 第十三回琉球芸能公演:おきなわ芸能の今、そしてこれから供廖並茖寡堯
*写真は、上記公演に先立ち、同年2月20日に国立劇場おきなわで行なわれた公演のポスター

( 2010/03/19 )

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