「乳袋」
十月二十六日(金)
少しずつわかってくるのであった。なんどか、わが「よなは徹」氏の左手親指のことをまるで世紀の大発見のように書いたけれど、やっぱりおやゆびはうごかないほーがいいんだな。つまり…三味線(沖縄は三線のことをしゃみせんともいう)のヘッド部分が「天(ちら)」で、この「天」の一番下の、そー(棹)へと向かうその直前の、耳たぶのような部分を「乳袋(みるくみみ)」というんだけど、この耳たぶの裏がわに親指を固定させる。あるいは、さらにそのちょっと下の、耳たぶと棹の境界あたりに、位置させる。そうすると音程が安定するのだ(なにしろフレットがないからね)。何年もやってる人や、お師匠さんに付いている人にとっては「なーによ、そんなこともしらないのぉ」って横目をひっかけられそうだけど、ぼくはなーんとも思わない。おおハヂかいて、なんぼだもんね。ハズい(恥ずかしい)たいけんはぜんぶワシのネタになるってかんじー。だから「おやゆびうごかすな」の鉄則を発見して小躍りしてる。こちとら態度だけはでっかいアマちゃんだからさ。
ま、これが本当に正しいのかどうかはわかりゃぁしないが、ただ、おやゆびの鉄則が「やはり!」となると、こんどはみぎてにある爪(ギターでいうピックの役)をどのようにもちかえたらいいのかがわかってくる。そうすると、やっぱり音はよくなる。…となると次は、弦を爪で弾く位置はどこらあたりが適切であるかがわかる…そしてそれは、よなは先生や林賢先生や、そのほかウマい方々が指摘なさっているのと同じ「その箇所」、すなわちホット・スポットであるわけ。でもこれって、三線だけじゃなく、何かをやり出すと必ず発見することですね。
ではここで一句。みのるほど、こーべをたれる…何だっけ?
よなは徹先生のDVDを見ていて、おっ、と思ったことがある。氏の、ひだりてひとさしゆびのつめのさきのまん中が数ミリけずれているのだ。三線プレイにとってのひとさしゆびって、けっこう折り曲げるひつようがあるから、そのために弦が爪に食い込みコスれた結果…そういうことだと思います。これって、浄瑠璃やってる太棹三味線の大師匠が言ってたことと同じだ。