「林次郎」
九月十二日(水)
夏前に東京など各地でやった林房の林次郎展は、沖縄でも話題になったようだ。彼と一緒にステーキを食べていたら、店のママも「新聞見たわよ照屋さん」だって。照屋さん照れてらしたわ。
林房は照屋林次郎の子どもの頃の名前だ。わらびな(童名)だね。ヤマトの武士だったら、千代丸って感じか。林房はいい年になっても周りから林次郎って呼ばれることはまずなくて、いつも林房りんぼうしてるんだ。
林房から連絡があった。三月あたりから、九州や関西でまた三線展をやろうって。北陸はどうよ、とぼく。北海道でアイヌとやりたい、と林房。やりたいってあんた、「三線ウィズ熊踊り」ってか? …でもなんだか面白そうだね。
夢ばっかり話をして、ぼくらは二人してずっと坊やなんだ。
「りん」
九月十三日(木)
三線の名前をどうするかを考えて、生みの親である林房にメールする。「りん」でどうだろう。返事は、OK。林房三線の名前が「りん」に決まった。「林」という字は照屋さんちにとってはトーテム・ポールみたいなもの、いわば歴史的な支柱だから、やっぱり付けるのなら「りん」だろうと思っていた。で、男か。女か? B・B・キングのギターはルシールという女性だが、りんはどちら? 顔も形も男のような気がするし、知念大工の型は「鳴り」が大きい傾向にあるように思うから、なおのこと男、ってことか。
男が男を抱いていると意識しながらりんを弾く。女の性の楽器よりも、それはずっとセクシュアルな関係にある、ような…。りんの肌はしっとりとしている。