マチートは、ティト・プエンテ、ティト・ロドリーゲスらと並び、
マンボ黄金期の中核をなした最重要のバンド・マスターだった。
アフロ・キューバンから
サルサへの橋渡しをなした人物でもあり、彼の楽団は
チャーリー・パーカーや
ディジ・ガレスピーらとの交流の中から、歴史的な録音を残したことでも知られる。
このアルバムは、1951年から52年にかけて…つまり
マンボ・ブームの真っ盛りに、コロンビアに録音した20曲をすべて収録したCDである。華やかなあの
マンボの時代を、ニューヨークのダウンタウンにあったボールルームの名を取って「パラディアム・デイズ」と別称することがあるが、このアルバムはまさにその雰囲気を味わうためにある。
マンボの時代、白人社会にまで深く食い込み世界的に名を成したラテン・オーケストラとしてはザビア・クガートやペレス・プラードらがいるが、今からすればケレン味の強い彼らと異なり、マチート楽団はアフロに根ざした豪快なスウィングが大前提にあり、そこがキューバ人やプエルトリコ人、そしてアメリカン・ブラックに強く支持されたのだった。
楽団の素晴らしい力量を知るなら「サンビア」や「
マンボ・イン」などを。グラシエーラ(マチート)のお色気たっぷりの歌ならお得意「シー・シー・ノー・ノー」「ケ・メ・ファルタ」を。もちろんボーカリストとしての味わいも「カラムボーラ」などで聞くことができる。
(藤田正)
*なお、ザビア・クガートの名作『オリジナル・ラテン・ダンス・キング』もマチートと同時に発売された。
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