モンゴ・サンタマリアは、ニューヨークを拠点にして
サルサからジャズ、R&Bにいたる、言ってみればアーバン・ブラック・ミュージックの世界で広く活躍したコンガ奏者だった(1922〜2003)。ヒット曲とすれば「ウォーターメロン・マン」(ハービー・ハンコックのカバー)だが、それ以上に、
アフロ・キューバンのリズム・マスターとして、様々なバンドでの仕事の方が業績としては大きいはずだ。ファニア・レーベル在籍時のフュージョン系の作品にしても、凡百のプレイヤーにはない太いリムズの幹が感じられ、もちろんファンタジー、アトランティックなどに残した60年代の作品も、ビシッとリズムが立っていた。
「CBS情熱のラテン・シリーズ」の1枚として世界初CD化された本作は、彼がまだブラック・ニューヨークの(大物ではなく)注目株だった65年の作品。ウィリー長崎の推薦でこのCD化が決まったようだが、あまり知られていない作品ながら、モンゴの魅力をたっぷり堪能できる。
全体の傾向としては
サルサ寄りのアルバムだが、マーティ・シェラー(tp)、ヒューバート・ロウズ(fl,ts)、ボビー・ケイパーズ(as,bsほか)など、優れたプレイヤーによるコクのある演奏も聞き物だ。
(藤田正)
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