1999年に亡くなった
嘉手苅林昌の晩年の珍しい録音が、この10月1日に発売されて話題になっている。
96年に開かれた「神の島・久高島ミュージック・キャンプ」での録音を中心に、未発表作品「戦を恨む母」「恋しアルゼンチン」なども収録されて、今年(2005年)は
嘉手苅林昌が亡くなって七回忌でもあり、これはファンにはたまらない一作だろう。
収録されているのは13トラック、すべてがライブ・レコーディングである。比嘉いずみによる「つらね」から始まり、「かいされー」「意見(いちん)あやぐ」「白雲節」「ナークニー」…とお馴染みのナンバーが続いて行く。
聖地・久高島に集った大勢のファンや、
近藤等則が見つめる中、嘉手苅のオジイは、枯れた(しかし、なかなかに色っぽい)ノドを披露する。会場のざわめきや子どもの叫び声が聞こえるなど、録音状態は決してベストではないが、それを超える味わいがなによりも「宝」だ。
アルバム後半には、ドイツ映画(日本未公開)のサントラからの「遊びションカネー」や、NHK BS「戦争童話集」からの「戦を恨む母」などが紹介されており、
嘉手苅林昌は病に倒れる直前まで、あくことなく前進し続けていたことがしみじみとわかるアルバムとなっている。トラック8「林昌さんの話し物語」(語り)も、この人らしく、なんとも懐かしい。
(藤田正)
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