だが、残念なことに、この2枚に匹敵する作品がない。
小さな沖縄県で、約1年の間に2枚も優れたアルバムが出るだけでも凄いことではあるが、私は沖縄音楽の「実力」はこの程度ではないことを知っている。
だからあえて不満を言うのである。
90年代のブームを終えて、ルーツ系沖縄音楽は、どこか方向性を見失ったように見える。
演歌、中堅のロック・バンドなど、この2、3年でメジャーでは「お荷物的なアーティスト」の首切りが行なわれたが、沖縄の音楽もほんの少しの例外を除き大半がワン・ショット契約〜インディーズとなった。
インディーズであること自体は何ら恥ずべきことではないが、では独立系となった彼らが今何をやっているかということである。
ミュージシャンとして、そして沖縄の企業人として極めて重要な位置にいる照屋林賢を例に取れば、彼が設立したアジマァ・レコードからは、ソニーを離れた「
りんけんバンド」を発売し、バンドのジュニア版である
ティンクティンク、上原知子、少年島唄シンガーとして話題になった仲宗根創など意欲的なリリースも続けてきた。しかし、同レコードの一部を構成していたビーチ・レーベルは2001年の5月で活動を終え、また母体である「
りんけんバンド」も右腕の上地一成が抜けるなど大きな曲がり角を迎えている。