沖縄ローカルに徹した番組作りで知られるROK(ラジオ沖縄)が、かつて優れたレコードを発売していたことは、熱心な島唄ファンの間では知られていた。
そのラジオ沖縄が創立45周年を記念して1枚のCDとしてまとめたのがこの『おきなわのうた ROKレコード名作集』(blue inc./ M&Iカンパニー)。選曲、監修を担当したのは藤田正である。
ROKレーベルがスタートしたのは1971年のことで、もともとは番組のために録音されたものをシングルとして発売していた。今回のCDで冒頭に登場する小那覇全人(おなは・ぜんじん)氏によれば、なかなかの売り上げだったそうで、そのカタログの中からLP10枚組『琉球芸能大百科 おきなわのうた』などの特集ものも売り出された。今回のCDも、この10枚組から選ばれている。なお小那覇全人氏とは、かの
小那覇舞天氏の息子さんであり、有名な名物番組「方言ニュース」のキャスターとして現在も活躍する人物である。CDの最初のトラックは全人さんによるウチナー口のナレーションだ。
収録されているのは、
嘉手苅林昌のお得意「白保節」、親友の
小浜守栄と嘉手苅が共演した「仲里節〜中作田節」、エイサーの名門である園田(そんだ)青年団のエイサー・メドレーと、本当系島唄のクラシックは当然として、宮良康正の「与那国ぬマヤー小」、大浜安伴「鷲の鳥節」など八重山の歴史的シンガー名唱、宮古ではこれまた名人の「お正月のあやぐ」と、すごい録音がズラリとならんでいる。
古典では安富祖流の人間国宝、照喜名朝一、野村流の漢那宗松が登場。
さらにチビッコ時代の
古謝美佐子が「国頭サバクイ」を、
古謝美佐子のデビュー曲「すぅーしすぅーさー」を、これまた可愛い津波淳子が歌って聴かせる、という趣向だ。
ラストは
小那覇舞天氏のお得意だった、一人芸の名作「スーヤーぬパーパー」を、遺志を受け継いだ親泊良安が熱演する。
どっぷりと、しかも多角的な選曲の19トラック。
沖縄伝統的大衆歌のベイシック・コレクションとして最適な1枚である。(2005年5月18日発売)
amazon.co.jp-CD『おきなわのうた ROKレコード名作集』