沖縄のコザ(沖縄市)には不思議な場所がいくつかあって「アート・コザ」もその一つだ。少し前まで画廊だったはずなのに、いつしかカレー屋さんになるというウワサが立ち、実際に出かけてみると飲み屋さんだった。
経営者が代わったのではない。店主の気持ちが変わったのだ。でも、誰かがそのことに文句をつけるわけでもなく、仲間たちは店主が命じるまま改築に手を貸し、飲み屋として内装にまとまりができたころから、人が集まり出したのだった。アート・コザは、そんな磁場を持つスペシャルなコザ・スペースなのだ。
店主とは、
照屋林次郎のことである。
Beats21.com では三線製作の名人として、あるいはSAVE THE CORAL実行委の主要メンバーとてよく登場する人だが、近ごろは、夕刻から飲み屋のマスターとなる。
メニューが面白い。つい先ごろまでは泡盛(菊之露)とコーヒーしかなかった。理由はどちらもぼく(林次郎)が好きなものだし、みんな(客)もそれでいいだろ…という温かい配慮のようだ(先日からは、もう少し気を利かせてくださいませとのお客さまからの願いを汲んで、バリエイションはふえつつある)。
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林次郎(右)とよなは徹(中央)、左は沖縄音楽の生き字引、ビセカツさん |
アート・コザに「飾り」はほとんどない。1点だけ、父親である故・
照屋林助の「ワタブーショウ」のオジリナル・ポスターが壁に「なんとなく」貼ってある。このポスター、ファン垂涎の大変な逸品であることは言うまでもない。世に一つしかないヒストリカルな文化財を、林次郎は、ポスターはポスターとして扱わなくてはならないという思想のもとに「雑然」と扱ってみせるのだった。集まる客も、林助や
嘉手苅林昌といった伝説のウチナーンチュの末裔としての誇りを持つ人が多く、お高くとまることが大嫌い。かたり、わらい、うたう…それがサカナとしてあれば、それでいい。
林次郎のART KOZAは、そんな場所。
そして…林次郎&コザの仲間たちが結集する「
照屋林助追善フェス(第1回 コザ・てるりん祭)」の準備が、現在、着々と進んでいる(
照屋林助生誕80周年、
嘉手苅林昌没後10周年特別イベント)。
アート・コザの周辺・各商店街を使っての無料イベントで、島唄系の要人が大挙してやってくる。日程は6月6日(土)、昼から夜中まで。
詳細は、このBeats21.comで近日中に発表する。
ART KOZA=沖縄市中央 1-17-21、電話 098-929-0871
(コザの中心地、呉屋十字路からすぐ。パルミラ通り内。FMコザの真向かい)
基本的に年中無休。18時ころから。
メニュー=泡盛(菊之露)1合 with ice and water=700円
コーヒーほかソフトドリンク=200円 つまみ=300円