税込み定価、2000円は安い。8曲入りのニュー・アルバムである。
「言いたいことは、言わせてもらうぜ」の姿勢を貫き通す
ソウル・フラワー・ユニオン(SFU)の最新作は、ジャケットの手触りから世界の子どもたちの写真まで、そしてもちろん音楽も、彼らの主張がダイナミックに伝わる名作に仕上がっている。CDを買って、シールを破って、「ほうほう、そういうことかい」という、胸騒ぎを感じたという意味では、
モンパチの『メッセージ』と似ている(値段も)。
世界各地に
戦争があり、いろいろの支配者たちが様々な謀略の限りをつくし、その合間で苦しみ死んでゆく子どもたちがいる。SFUのこれまでもそうだったが、今回のアルバムは、その音楽的メッセージにさらに磨きがかかった。そして鋭いのである。
バンドの中心をなす
中川敬のボーカル、アレンジ、歌の解釈も見事だ。
そして、仮に社会派であり政治的であるという彼の姿勢を抜いて聴いたとしても、そのボーカルは、いよいよ充実してきたことが本作でわかるはずだ。
1曲目「うたは
自由をめざす!」から、クラッシュのカバーやライブ録音をはさみ、ラストの「続・うたは
自由をめざす!」まで、息つく暇のない、怒涛の寄り切りアルバムである。
なおアルバム・タイトルは、イスラエルで用いられるヘブライ語と、アラビア語の単語が併記されている。その意味は「
平和」である。(藤田正)
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