「Kill The Poor」は発売禁止にすべきか? ---読者からの声(2)
Beats21
 2002年2月28日から始めたアンケートは、本日(3月6日)を持って終了させていただきます。投稿下さったみなさん、ありがとうございました。
 今回は「読者からの声」の2回目(最終回)です。
 *なおBeats21は、追ってヤポネシアン・ボールズ・ファウンデーションの取材記事を発表する予定でいます。その時も、頂戴したみなさんの貴重なご意見を参考にさせていただきたいと考えております。
(編集代表、藤田正)
(写真は、メンバーの中川敬
 
■ by 匿名希望さん
あれはどうかと思いますね。
入れない方がいいと思います。
むちゃくちゃですよ
発言の自由とかあるんでしょうが
前にエミネムが同性愛を侮辱して話題になりましたが
これは、あまりにも人を侮辱し過ぎているというか
存在事体を否定していると思います。
人権をあまりにも無視した作品ですね。
世界の人たちの中には戦争でうえているひともいるのに
そういった場所に生まれてきたのは
運がいいとしかいい様がないのに
とてつもなくえらくなった気になっているんでしょうか
この人がえらいとか社会的にはあるのでしょうが
存在的にはかわらないんですから
こうやってあおると色んな所にとりあげられて
CDが売れたりして会社的にはいいのでしょうが…
人としてはどうでしょう。
■ by I.N.さん
「Kill The Poor」が不穏当かどうかという問題について。
 ヤポネシアン・ボールズ・ファウンデーションは絶対にこの唄を発売すべきである。
「木を見て森を見ず」(森だけを見て木を見ないのも問題だが)のような人たちには、そのタイトルだけで「とんでもない唄だ」などとずいぶんな思い違いをする人が多いだろう。
 特に現在の音楽業界の上にいる人々や、その他多くの常識人といった固定概念にとらわれた頭の固い人々たちからは、くさいものにはふたをする、ということで確実に発売を自粛させられるだろう。

 何もしないことは自分が傷つかず一番安全なことなのかもしれない。
 しかし、それで本当にいいのだろうか。
 同じ人間同士がにくしみあい、傷つけあう中で、行動を起こさずに時が解決してくれることなど何も無い。皆が黙っていれば犠牲になる人々がさらにすさまじいスピードで増えていくだけである。
 本来誰もが争い事もなく平和に暮らせることが幸せだと思っているはずだ。
 まあ、どこかの国の偉い人はずいぶんと好戦的な御様子で、自分の手を汚さず無差別的に反撃という名のテロ行為を行なっているようだが。
 今みんなが感じ、求めていることは、あれこれとテレビのコメンテーターが理屈を並べているような難しいことではなく「同じ人間同士が憎しみあい殺しあう世界より、みんなが笑顔で暮らしていける世界の方がいい」
 そんなかんたんなことなのである。
 この唄は貧困にあえぐ人々を廃絶しようという唄ではなく、明らかに平和を求めている者の声であり、同時に、間違った正義を主張する者や核兵器へのアンチテーゼなのである。
 残虐な犯罪に残虐な正義で返すようなことが二度と起きないためにも、この唄が必要なのである。
 物事の本質を見ずに批判するようなことは問題外である。
 平和を求めるために反戦を訴えた者が非国民とされたり、また危険思想の持ち主であるという見方をされるような間違った意識が蔓延しすぎている世界に風穴を開けるためにもこの唄はぜひ発売すべきである。
 この日本語詞を読んでもなおこの唄が貧困者を廃絶しようという唄に感じるのであれば、それこそこの唄のタイトルのとおり、自分のpoorな考え方を改め、新たな気持ちで取り組んでみることが必要なのではないだろうか。

(Beats21へ。『貧乏人など殺してしまえと歌う、この「Kill The Poor」。』などと意図的に人々の回答を変な方向へ煽るような文章を緊急アンケートとはいえ書くべきではない。 多くの人はこの文章を読んでこの歌の主題が「貧乏人など殺してしまえ」にあると勘違いしかねないからである。
 また、誰と誰の間で意見が真っ二つに割れているのかをはっきり明記すべきである。
「どんな音楽が好きか?」のような単純なアンケートであるならともかく、今回のような決してYes,Noだけで片付けられるような問題ではない場合、どういう意図・考えをもって作られた歌なのか、といったちゃんとした背景説明などが必要である。)
■「KILL THE POORについて」 by T.O.さん
 英語の曲の日本語訳詞によるカヴァー、これは危険なことだと思う。

 日本語の歌詞も、CDについてる対訳をちょろっと読んだくらいで作ったのだろうし、解説に付いている対訳とはただの対訳の一つの例であって、英語による原文を理解しなければ、意味が分かったとは言えないからだ。
 例えば、"THE POOR"一つとってみても、「貧乏人」以外の訳もあるかもしれないし、ダブルミーニングであるかも知れないからだ。

 もちろん、演奏する本人が本当に「貧乏人を殺せ」と考えているんだったら構わない。
 ただし、そのときはその自分の主張に責任を持つべきであり、後で「所詮カヴァー曲だから」とかいう言い逃れは許されないと思う。そして、本当にそんなことを歌うのだったら、俺は歌い手を軽蔑する。

 何を歌ってもいいと思うが、その責任をオリジナルの持つ価値に隠すようにしてこそこそ歌っているようでは、ただのぬるま湯教育の弊害で育っただけの甘ったれ野郎だ。なんか、日本語に直しても"KILL THE POOR"という原題をそのままにしているところが象徴的なような気がする。貧乏人も殺せと実際曲の中で歌っているのに、ジャケットなどに印刷されるタイトルは同じ言葉なのに英語のまま。

「貧乏人を殺せ」というタイトルにして出すんだったら歌う本人達の主張が伝わって分かりやすくてよい。とにかく、そうした落とし前もつけずに、「歌詞を見れば、そんなことは歌っていない」という言い訳は聞きたくない。日本語カヴァーのくせにね。
 んま、勝手にしやがれ。
■ by K.W.さん
 なにが不穏当やねん、ふざけんな! たにんやったらころされてもええ、って思ってるやつら、意味不明の正義とかなんとかをかざしてる気持ち悪い狂信家に、もちろん胸をいためまくってるやつらにも、できるだけ多くの人の耳に届いてほしいと思う。日の目を見ないなんて信じられん。
 
■「Kill The Poorについて」 by T.H.さん
 ケツの穴のしまったラケンローラーおよびその関係者のみなさんへ
 自粛の「粛」にはケツの穴がありますが、あまりしまりがよくありません。
 どうですか?
 わたしは絶対に聴きたいです、今だからこそ。
 
■ by 匿名希望さん
 この歌の曲は聞いた事がないけど、発売禁止にするべきではないと思います。
 kiil The Poorという事を逆説的に訴えていると思います。
 アメリカが安易に(科学の進歩や富める者が勝ちで、負け犬貧乏人は自分のせいで不幸なのに面倒起こしやがって鬱陶しいという論理で)殺してるよ、それはこういう事だよ、それでいいの?と言ってるように思えます。

 アメリカとイギリスの核実験の事が放っておけなかったのではないでしょうか?
 この曲聴いてみたいです。
■ by A.U.さん
 私は「Kill The Poor」の歌詞の内容は中川氏の毒のある風刺、逆説的表現と受け取ってます。
 ソウル・フラワー・ユニオン「スクリューボール・コメディ」においても「NOと言える男」を収録していますし、「Kill The Poor」を特に問題視しなくても良いと思います。
 と言っても個人的にはあまりに直接的な表現の歌詞は好きではないです。暗喩を織り込んだ歌詞の方が好きなので9.11テロ事件以降、ヤポネシアンもしくはソウルフラワーのライヴにおける反アメリカな歌詞は不快とは思いませんが(むしろ内容において同意です)、しかし、どうも短絡的な印象を持ってしまいます。
気になるのがアンケート文中における、
>歌の内容が、あまりに不穏当だ、いやそうではないと、
>意見が真っ二つにわれています。
>反響しだいでは歌が日の目を見ない可能性もあります。

いったいどこで意見が分かれて、歌詞の内容が問題になってるのかが気になります。
今までの中川氏の発言を知っている者なら今回の問題がネット上でアンケートをとるまでになったかが不思議です。

 音楽的にイマイチだからお蔵入りなら理解できますが、歌詞内容でボツなら納得できません。中川氏のような姿勢を取るミュージシャンが日本に他にどれだけいるでしょうか?
 それを思うと仮に自主規制のような形で「Kill The Poor」を削除したなら日本ロック最後の砦が崩れたと思うしかありません。
 今回のアンケートはあえて問題することで話題を作るプロモーションなのですか?それなら面白いのですが。

 これをアンケートの回答とさせてもらいます。
 失礼いたしました。
■ by M.M.さん
 私は、発売すべきだと思います。

 不細工なくせに不細工じゃないと思いこんでいる自分のことを良く判っていない人に向かってこれがお前の本当の姿だと、ピカピカに磨いた良く写る鏡を突きつけているようなものです。
 端で見ていて、気持ちいいです。

 それに、汚い物の汚さを知って貰うために、それを表現する場合、その汚さを手加減なしに表現してみせることで、それを見た人(この曲を聴いた人)が、ひどい嫌悪感を抱いたならそれでこそ、「成功」と言えるのではないでしょうか。
 言葉のベールで包んで、汚さを隠して表現しても何も伝わらないと思います。
 この程度の歌を、発禁にするしないと騒ぐ前に、歌という作り物の世界ではなく、現実の世界でおこなわれている過激で残酷な行為に対して、もの申すべきなのではないでしょうか。
■ by T.N.さん
 歌詞に貧乏人をばかにしていると受け取られる恐れがあるとは到底思えません。
 逆に権力が脅威を感じるであろうような風刺とも感じません。

 それより、どうしてこのような事前アンケートが行われているのでしょうか。それによって発表がとりやめになったり推進されたりするということが想定されているのでしょうか。

 また「あまりに不穏当だ、いやそうではないと、意見が真っ二つにわれています」とは一体誰の間で意見が分かれているのでしょうか。

 レコードの発売前にこのような状況を作っていること自体に自主規制の問題があり、中川や山口のアーティストシップにそぐわないものだと感じます。正直に言って不快です。
読者からの声(2)おわり

( 2002/03/06 )

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