アメリカ主導の世界の流れに反旗を翻し、本当の意味での大衆音楽を追いかけているのがクラリネット奏者の
大熊ワタルだ。
これまで、日本ではヂンタやチンドン・サウンド、海外ではクレズマーやバルカン半島のブラス・バンド、フリー・ジャズなどから独特の世界を築き、高い評価を得てきた彼だったが、今回の『ゴースト・サーカス』ではさらに音作りに幅広い余裕が感じられるようになった。バイオリンやチューバ、チェロなど、様々な楽器が織り成す演奏も、その色合いが刻々と変化が加わって行く様が綺麗だ。
ソウル・フラワー・ユニオンもカバーしたビクトル・ハラの「平和に生きる権利」といった有名曲や、吉田達也(ドラム)の変拍子による曲、大熊のペンになる(いわく因縁つきの)「ゴーストレクイエム」など、バリエイションも豊かで、聞き飽きることがない。
Amazon.co.jp-『Ghost Circus』