ライブ・レポート Soul Flower Union絶好調!
Photo:Beats21
 2001年3月29日、新宿のリキッド・ルームは、あいかわらず満杯の盛況だった。
 「フーテン・ガール・ミーツ・ホーリー・ゴースト」と題された当日のコンサートは、7月に発売が決まった彼らのニュー・アルバムからの曲目が、前半にズラリと並んだ。
 ライブの途中でリーダーの中川敬が「(まるで)ロック・バンドみたいやろ」と笑って語っていたように、今回のアルバムは70年代初頭のローリング・ストーンズ・タッチのものがあったりと、おおむねストレートなロック・サウンドが中心に置かれているようだ。ステージでもその色合いは濃く、ビート・バンド〜ストーンズ〜パンクと、ロックの中核はきっちりと押さえた歴史の上に現在の姿がある彼らだけに、風格も見える、引き締まった素晴らしい演奏だった。
 曲目は、オープニングの「Go-Goフーテンガール」に始まり、「殺人狂ルーレット」「サバイバーズ・バンケット」「NOと言える男」「世紀のセレナーデ」など。中川敬のボーカルを中心に、勢いに乗るソウル・フラワー・ユニオンの姿がくっきりとステージに描き出されていた。
 ステージの風景が変わったのは名曲「満月の夕」からである。年の初めに若干の声の変調を訴えていた人物とは思えない、中川敬の重量感あふれるボーカルが見事だった。
Photo:Beats21
 そして、こういった後半に置かれたこれまでの重要曲と、前半の新曲を併せて味わう時、アイルランド音楽への傾倒、チンドン・ロックと様々に指摘されてきたソウル・フラワーが、ますますフトコロの深く広々としたバンドへと成長していることが理解できるのだった。
 オープニング・アクトは、女性二人がフロントに立った話題の3人組「Go!Go!7188」が務めた。
 メタル、パンク的なスタンスではあるものの、その内容はけっこう「女の子」っぽかったりして、実像は軽やかで分かりやすい。おそらくこういう所が評価につながっているのだろう。

 なおこの日は、東京ライブの初日。二日目にあたる3月30日は「ホーリー・ゴースト・ツアー01」と題され、同じくリキッド・ルームで開催。
(文・藤田正)
 

( 2001/03/30 )

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