戦後の沖縄音楽に計り知れない足跡を遺した
照屋林助。
彼は音楽家であり、同時に作家、編集者でもあった。本作りについては、印刷用の機械まで買い込んだほどに熱心だったことが(身内には)知られているが、ここに紹介するのは、その中でも気合を入れて制作した伝統的歌謡集、それも舞台用として歌われた代表的なものの歌詞集である。
監修は、野村流古典音楽の先生としても知られた照屋林山(林助の父)。
林助は、「かぎやで風節」から「唐船ドーイ」までの有名な歌詞を、さまざまな注釈を加えながら、整理しなおしている(楽譜=工工四は付いていません)。
ラストが凄い。花山のぼるの名前でつづった「狂歌万句集」で、すべてがエロチックな琉歌。
照屋林助はこの分野でも、沖縄随一であり、ウチナー口がわからずとも、狂歌すべてに訳がついているから、相当に笑える。ウチナー口のベンキョウにもどうぞ。
照屋林助三線店からの特別提供で、残部僅少。
(文・藤田正)