目次
1.はじめに
2.「
海の日、サンゴの日」開催概要
3.会場構成について 〜 白化サンゴを象徴する白い風船
4.テーマ・ソング「あんやんてぃんどう」について
5.イベント詳細
6.イベントグッズの販売
7.パブリシティ
8.運営状況総括
9.今後の活動予定
*以下、敬称略
1.はじめに
2008年は「国際サンゴ礁年」です。世界各国で、サンゴ礁についての理解を深めるための普及啓発活動が行なわれています。「
SAVE THE CORAL 2008」は、この世界的キャンペーンに賛同し企画された、音楽のネットワークです。
「サンゴ礁があぶない」「海洋生物が危機に直面している」
こういった言葉は、最近、ずいぶん耳に入るようになりました。しかし「真っ白なサンゴ礁は<美しい>」という誤解を筆頭として、いまだサンゴへの基本的な理解、海・自然に関する私たちの理解は深いとは言い切れません。
日本においてサンゴ礁といえば、まずは沖縄ほか南方の海がイメージされます。
「
SAVE THE CORAL 2008」は、沖縄の音楽・文化を中心に、環境保護に関心を持つミュージシャン、アーティストをステージに招くライブ・イベントです。
「
SAVE THE CORAL 2008」は、サンゴ礁が直面する問題に深い関心を示す方に限らず、これまでサンゴについて意識したことのない多くの市民を対象として、音楽に親しみながら、「私たちの海、サンゴの未来」について考える交流の場を提供する試みです。
なお、この実施報告書では、私たち「
SAVE THE CORAL 2008」が、2008年7月21日に開催した「
海の日、サンゴの日〜サンゴの元気は子供たちの未来」の内容について報告を行います。
日時/2008年7月21日(月・祝、海の日)10:00〜21:00
会場/万国津梁館(沖縄県名護市)
主催/万国津梁館、
SAVE THE CORAL 2008実行委員会、チーム美らサンゴ、株式会社アジマァ
協力/環境省
後援/沖縄県、沖縄県PTA連合会
協賛/社団法人日本青年会議所沖縄ブロック協議会、オリオンビール株式会社、全日本空輸株式会社、株式会社かりゆし、沖縄県学校用品株式会社、合名会社新里酒造、照屋林助三線店
来場者数/約3000人
3.会場構成について 〜 白化サンゴを象徴する白い風船
会場となった万国津梁館は、サミットホール、オーシャンホール、サンセットラウンジ、
カフェテラスの4つの建物を中心に成り立っています。当日は、この4つの建物をつなぐ通路に、いくつもの白い風船を飾りました。
本来ならば鮮やかな色で海の中を彩るサンゴ。白い風船は、死の危機にさらされている白化サンゴを表しています。会場を美しく飾り、来場者の目を楽しませながらも、サンゴ礁が直面する危機について気づかせる目的があります。
風船は、ゴムの木の樹液を原料とする100%天然の自然商品を使用しました。いくつか
は空に飛ばされていましたが、自然分解されるため、環境破壊にはつながりません。
4.テーマ・ソング「あんやんてぃんどう」について
「
SAVE THE CORAL 2008」がテーマ・ソングに掲げる「あんやんてぃんどう」(作詞:照屋林助 曲:竹富島民謡 編曲:照屋林賢)は、島の自然とサンゴの海の美しさ、人の情け、平和に対する思いを歌い上げたものです。
「海ぬ清らさやよ サンゴ花咲かしわる 海や清らさるよ(海の清らかさよ サンゴが花を咲かせてこそ 海は清らか)」と歌詞にあるように、サンゴの存在が海を美しくする。また、家族と、他人と語り合い、支え合う世の中が平和をつくり、私たちの住む地球を守る。日々の生活を送るうえで忘れてはならない大切な事柄が、平易で、親しみやすいことばとメロディーにまとめられています。
5.イベント内容詳細
【オープニング・セレモニー】
午前10時、玉城良英・万国津梁館館長の挨拶を皮切りに、イベントが開幕しました。
奈月による「かぎやで風節」にあわせて、主要関係団体(沖縄県、日本青年会議所・沖縄、チーム美らサンゴ、
SAVE THE CORAL 2008)のフラッグ掲揚式を行いました。
司会、古山佳代子。
【サンゴ絵画ワークショップ】
対象は小学生以下の子供たち。参加者は沖縄市越来小学校の児童を中心とした子供たちでした。画材は参加者の持参する画用紙のほかに、沖縄県学校用品株式会社により画用紙と、企業組合まっち絵具製造からの、有害物質を使用しない絵具が提供されました。
サンゴと色とりどりの魚たち、ウミガメに連れられて行く竜宮城などかわいらしい絵が並ぶなか、夜の海でサンゴが産卵をするシーンを描くといった、子供たちのサンゴに対する知識にも驚かされたワークショップでした。
【サンゴ・スタンプラリー】
会場内3か所に設置された、サンゴに関するクイズに答えるスタンプラリー。参加者には、「
SAVE THE CORAL 2008」がサンゴを守る活動のシンボルとする、白い風船がプレゼントされました。会場内を元気よく駆け回り、積極的にスタンプラリーに参加する子供たちの姿が見られました。
【NHKによるサンゴ映像上映】
カフェテラスでは、10:00〜18:00まで、NHKの提供によるサンゴの特集番組(慶良間諸島のサンゴについて)の上映を行いました。
【サンゴ少年3人展&トークライブ】
名護の海を正面に望むサンセットラウンジでは、「少年」を自負する沖縄で生まれ育った同じ年のアーティスト、版画家の名嘉睦稔、イラストレーターの仲地のぶひで、三線製作者の照屋林次郎、3名による作品の展示と、トークライブが行われました。
トークライブでは各氏の海との関わりや、自然に対する思いが、ウチナー口で語られました。司会、古山佳代子。
【ミニ・ライブ】
中央広場では、若手ミュージシャンらによるミニ・ライブが11:30〜と13:30〜の計2回、行われました。出演=AMG、すべりだい、奈月。司会、吉田鉄太郎。
【園田子供会エイサー公演】
沖縄を代表するエイサーチーム「園田エイサー(園田青年会)」の子供会による公演を12:30〜と16:00〜の2回、行いました。3歳の保育園児から中学生まで総勢150名が、激しい日差しが照りつける中、熱のこもった踊りを披露。万国津梁館にいたるアプローチを利用した道ジュネー、澄み渡る青空に響く子供たちの掛け声とビートが観客を魅了しました。
【チーム美らサンゴ2008 サンゴ・フォーラム】
沖縄本島・恩納村海域でサンゴを植え付けの活動を行っている「チーム美らサンゴ」
が、恩名村のサンゴの状況について報告を行いました(パネル・ディスカッションと座談会)。また、沖縄県立与勝緑が丘中学校(うるま市)の生徒らがサンゴの現状についての研究発表。写真家、横井謙典、宇治川博によるトーク・セッションは、両氏が撮影した写真上映しながら、和やかに進行(会場サイドのロビーには、両氏の写真を終日展示)。
一方、会場には、貝殻やサンゴをつかった工作スペースも設けられ、子供たちに好評。ウミガメやシーサーなどの置物や、フォトフレームを熱心につくっていました。
協力、恩名村漁業共同組合。
【よなは徹ミニ・ライブ】
3月5日の「サンゴの日」では、東京・渋谷のライブハウスで、静かに心に沁みわたる島の歌を聞かせてくれた、よなは徹。「
海の日、サンゴの日」当日は、他の仕事をキャンセルし、沖縄の会場へ駆けつけてくれました。会場、サンセットラウンジ。
【那覇シティアンサンブル・ミニ・コンサート】
美しいサンセットラウンジにふさわしい、真栄城隆司指揮によるクラシックのアンサンブル。島唄のよなは徹との異色コラボレーションによる、テーマ・ソング「あんやんてぃんどう」も披露されました。ラストは唱歌のメドレーを会場全体で合唱。会場、サンセットラウンジ。司会、古山佳代子、吉田鉄太郎。
【ライフセイバーによる海の入り方講座】
海にもぐってサンゴの観察をする前に、知っておきたい正しい海の入り方を、日本ライフセービング協会、豊見山明久が子供たちにレクチャーしました。美しい海も入り方を誤れば、危険が伴うこと、万が一溺れてしまったときの対処法などを、寸劇を交えてわかりやすく紹介。身を乗り出し、熱心に耳を傾ける子供たちの姿が印象的だった、との声が聞かれました。協力、社団法人 琉球水難救済会。会場、オーシャンホール。司会、吉田鉄太郎。
【
SAVE THE CORAL 2008 沖縄スペシャル・ライブ】
※本ライブのみ有料 3,000円
この日のメイン・イベントである、サミットホールでのスペシャル・ライブ。沖縄ストリートの雄からウチナーポップの要、そして次代を担う唄者と重鎮、ほかでは考えられないメンバーが一同にそろうライブとあって、観客も開場前からそわそわしたようす。
はじめに登場したのは、園田エイサー(園田青年会)のボーカリスト、久場政行とその仲間たち。園田子供会のエイサー公演でも歌三線で子供たちをリードした久場。今回のような形で壇上にあがり、歌を披露するのは初めて、とのことでしたが、園田青年会と子供会の声援に応えて歌いあげます。
島唄界の若手の実力派、よなは徹は、サンセットラウンジでのライブに引き続いてのステージ。時に激しく、時にしんみりとした演奏で会場に語りかけます。
つづく島唄の最高峰、登川誠仁は弟子の2人、仲村奈月と仲宗根創(なかそね・はじめ)を伴ってのステージです。「緑の沖縄」をはじめ、沖縄の自然を唄ったオリジナル曲のほか、伝統曲を演奏。唄、三線、太鼓と同時に、ユーモアたっぷりのトークで会場を沸かせました。
トリは、りんけんバンドです。いつになくヒートアップした演奏で、会場のボルテージも最高潮に上がります。りんけんバンドのステージの最中には、「
SAVE THE CORAL 2008」の応援団長、ガレッジセールが登場。「自分たちの故郷、沖縄のために」、東京での仕事を終えるやいなや、そのまま飛行機に乗り、会場へ直行してくれました。
フィナーレは、出演者全員がステージにあがり、テーマ・ソング「あんやんてぃんどう」の大合唱。指笛が鳴り響き、大きな拍手が鳴り響くなか、全演目が終了しました。
司会、吉田鉄太郎。 有料入場者、300名。
6.イベントグッズの販売
本イベントのためにオフィシャルグッズを製作・販売しました。
SAVE THE CORAL 2008・オフィシャルTシャツ 2500円
SAVE THE CORAL 2008・オフィシャルキャップ 1500円
SAVE THE CORAL 2008・オフィシャル泡盛 1000円
※泡盛は新里酒造により提供を受けました。Tシャツ及びキャップの売上げのうち、50%を環境保護団体へ寄付、残りをイベント運営費に充当しました。
7.パブリシティ
【
SAVE THE CORAL 2008 記者会見】
(1) 2008年2月22日、環境省(東京・霞が関)にて、「
SAVE THE CORAL 2008」の活動について記者発表を行いました。記者発表の様子は、主だったところでは、以下の新聞各紙で報道されました。
日本経済新聞:2月23日朝刊 沖縄タイムス:2月23日朝刊
琉球新報 :2月23日朝刊 毎日新聞 :2月27日夕刊
朝日新聞 :2月27日夕刊
(2) 2008年6月5日、沖縄県庁にて「
海の日、サンゴの日」開催の記者発表を行いました。
記者会見参加および発言者は次の通りです(順不同)。
藤田正(
SAVE THE CORAL 2008 総合プロデューサー)
玉城良英(万国津梁館 館長)
照屋林賢(音楽家)
ガレッジセール(タレント・「SAVE THE CORAL2008」応援団長)
諸見里宏美(沖縄県PTA連合会 会長=当時)
上原隆廣(沖縄県文化環境部自然保護課 課長)
照屋林次郎(三線製作者)
仲地のぶひで(イラストレーター)
名嘉睦稔(版画家)
【「
海の日、サンゴの日」の沖縄における報道】
(1) 2008年7月21日、NHK、琉球放送、琉球朝日放送ほか沖縄県内の主だったメディアがニュース報道しました。
総合プロデューサー 藤田正は、テレビでは、NHK、琉球朝日放送に出演しました。
ラジオでは各種告知ほか、琉球放送では計6回にわたる当日の実況報道がありました。
(2) 沖縄タイムス、琉球新報各紙で、イベントの様子を伝える報道がありました(インターネット報道などは除く)。
沖縄タイムス:7月22日朝刊 琉球新報:7月22日朝刊
8.運営状況総括(以下の文章は、レポーター・森聖加による)
【総論】
イベント当日の最高気温は33度。雲1つ見当たらず、肌に突き刺すような厳しい日差しのもとの体感気温は、当然、数字以上のものだったでしょう。にもかかわらず、病人・けが人を1人も出さずにイベントを無事終了できたことは、なによりの結果でした。
(看護士1名を本部に待機。交通渋滞を避けるために専門警備6名、大型駐車場、シャトル・バスを用意)。
音楽やアートを中心としてサンゴ礁の保全を訴えるイベントであったため、選曲された歌や作品を通じて、沖縄の自然を見つめ直し、海に、サンゴに思いを馳せることができたのは、とても素晴らしいことでした。音楽やアートは、大人も子供も問わず、楽しむことができるし、そこに込められた思いを直に感じることができます。アーティストとして、また観客として参加した人々の年齢も幅が広く、世代を超えて1つの時間を共有するイベントが実現できたのも、この21世紀にあっては貴重な体験でした。
【会場運営について】
会場の設営と撤去については、万国津梁館の専門スタッフがあたる一方で、イベント本体の運営は、主に友人・知人のネットワークで結成されたボランティア・スタッフによって行われました。したがって、一部に連絡系統が確立されておらず、イベント内容に変更が生じた際の混乱も見られました(ボランティア・スタッフ、10名ほど)。
例えば、開会後すぐに行われた「サンゴ絵画ワークショップ」では、画材を持参することになっており、ホームページでも告知されていたようですが、実際には、道具のない参加者も多かったようです。さらに、使用できる絵具の到着が遅れたこともあり、いまひとつ積極的な参加につながらなかったのではないかと思います(ワークショップのあとに、園田エイサー公演があったため、園田子供会の子供たちの参加ができなかったのも、参加者が少なかった原因の1つと考えます)。
ワークショップについては、はじめに簡単な説明がなされたものの、子供たちはサンゴについてのレクチャーを受けるわけでもなく、いきなり「絵を描こう!」という状態にされ、何を描けばいいものか、悩む姿も見受けられました。--そうした子供たちは、どこかからか持ってきたパンフレットの写真を参考にサンゴを描いていました。さらに、アーティストによる絵の指導や発表会が予定されていましたが、主催者側の都合でキャンセルされたことについて詳しいアナウンスはありませんでした。完成した作品についての講評を聞いたり、ほかの子供たちの絵を見たりすることで、子供たちのサンゴや海に対する知識が深められたかもしれません。
【会場の展示・レイアウトについて】
音楽やアートを中心にしたイベントであるとはいえ、会場づくりにおいては、もう少しサンゴや海について知る、パネルの設営があってもよかったと思います。オーシャンホールにおいて、ブースが数カ所設けられていましたが、あまりにもコンパクトで、展示内容も限られたものでした。他のスペースに圧迫されていたため、ゆっくりと内容を見学する状況にもありませんでした。
【その他】
来場者を会場へ搬送するシャトル・バス運営については、滞りなく、進行しました。
一方で、大きな荷物を持参して来場した人たちのための、クロークがなかったため、今回は、一切荷物の預かりを受け付けませんでしたが、次回以降の検討課題であると考えます。
9.今後の活動予定
(1) 近日中に、テーマ・ソング「あんやんてぃんどう」(沖縄サンゴオールスターズwith ガレッジセールの名義/7月21日録音)を公表します。
同テーマ・ソングを収録した「
海の日、サンゴの日」のライブ・アルバムは、2009年初めに発売を予定しています。(ビクターエンターテインメントより)
(2) 9月21日(日)16:30〜20:00、東京・日比谷野外音楽堂にて開催される「琉球フェスティバル・東京」と、「Save The Coral 2008」が合体し、「サンゴ礁の危機」をステージ上ほか会場で訴えます。有料。司会:ガレッジセール。
*経費の報告:「SAVE THE CORAL」の2008年度の活動が終了時点で、公式に発表。
*公式サイト:Beats21.com
http://www.beats21.com/