沖縄漫談の開祖として知られる
小那覇舞天(おなは・ぶーてん)の作品集である。
これは第2集だが、収録されている3題のうち「塩屋(スーヤ)ぬパーパー」と「世界漫遊」の2つは、ブーテンの代表的な作品だけに、現時点では彼を知るための一番のアルバムといっていいだろう。
前者は「製塩業(塩炊き)」のおばあちゃんが、沖縄名物「
ハーリー」を見物に町をゆく時のお話で、通りで出会った人たちにケチをつけたり、奇妙な質問をしたりと、手当たり次第の様子をブーテンが演じる。
「世界漫遊」は、海の町「
糸満」の男が、台風に遭ったのがきっかけで世界中を周って帰ってきたという話。トンマな男が語る世界の話を、旦那様が聞いてやるという設定だが、そのバカ馬鹿しい語りの中に、ヒトラーやムッソリーニという独裁者が批判されいる(この作品は、第2次世界大戦以前に作られている)。
照屋林助らに多大な影響を与えたブーテンの話芸は、完全なウチナー口だけに、よほどウチナー口に親しんでいないとチンプンカンプンだが、「音」としてだけ聞いても、洒脱なパフォーマーだったことが理解できるはずである。(2002年8月発売)