第4回「コザ・てるりん祭」を終えて 文・藤田正
大城美佐子(写真=森田寛)
 晴天のもと、「コザ・てるりん祭」を無事に終えることができました。
 昭和4年4月4日に生まれた照屋林助さんの愛称をタイトルに戴く「てるりん祭」は、今年で4回目。祭の名前も知られてきたのか、開演の午後2時を待たずして会場に集まって来られた方々は以前に増して多く、司会の玉城満さん、藤木勇人さん両氏が舞台に立つや、一番街、パルミラ通り一帯は温かい拍手に包まれました。これも、地域のみなさん、島の歌を愛する全国のみなさん、そして島の誇りを歌で代弁するミュージシャンの方々の熱い心なくしてあり得なかったのだと、スタッフ一同、改めて感謝しております。
「てるりん祭」は、三線を中心とする島の伝承歌や、その仲間たちをたっぷり聞いてもらおうとする祝いの場です。島唄の危機が叫ばれて久しい沖縄ではあるものの、今年のラインナップを見ると、決してそのようなネガティブな状況でもないことがわかりました。 
 沖縄市の中学2年生、光(ひかり)君からスタートした舞台は、林助さんの代表作をカバーするガール・グループ、シャンピン(元カラハーイユニット)へと続きます。将来を感じさせる歌声でした。
 徳里隆行、知念こずえ、島袋辰也、松田一利のみなさんは県内ではその実力を認められている若手で、まだ日も高い時間帯にこういったレベルの高い人たちが登場するのも「てるりん祭」ならではの贅沢です。
 仲宗根創さんも同じ若手ですが、今回は長老・登川誠仁さんの右腕としてではなくソロでの登壇。「黒島口説」ではアヤナちゃんというチビっ子も加わり、会場を沸かせていました。
 沖縄の女性ポップ・ボーカルに新風を吹き込んだ張本人、チアキさん(しゃかり)はパートナーの上地一成さんをバックに登場。もちろん「てるりん祭」の趣旨どおりに三線を手にして、未来ある歌をうたってくれました。
「てるりん祭」の企画の時点から加わってくれている、よなは徹さんは、自分の出番だけでなく、今回もたくさんの先輩、仲間たちのバックを努めてくれました(彼の弟子である岡村祐介君も同様)。彼ら、高知県から飛行機で駆けつけてくれた新良幸人さんも含めて、「島の歌を明日へつなぐ」のは、こういった若手実力者に違いないことでしょう。
 
知名定男(写真=森田寛)
 
 4回目の「てるりん祭」にも思い出となる場面がありました。その一つが、知名定男さんの登壇です。知名さんは「てるりん祭」の直前、歌手としての引退宣言をされ、新聞紙上でも大きな記事になりました。島唄ファンならずとも心配ではありましたが、舞台では元気一杯、かつ前向きな発言がありました。近いうちにまたあの声が聞けると確信しました。期待しましょう。
「ここに来たかったんですよ」とはTHE BOOMの宮沢和史さんの弁。昼過ぎに三線を持ってふらりと現われて、「梅の香り」の一節とミリオンセラー「島唄」をよはな徹のバックで。来場の方々にはいいプレゼントでした。
 照屋家、そして林助さんゆかりの人たちが後半に並びます。ひょうひょうとした島唄に凄まじいキャリアを感じさせるのが玉栄政昭さんと仲本興次さん。前川守賢、饒辺愛子のお二人は舞台芸人としての円熟そのものです。元ちゃん(前川)のモノマネは今回も圧倒的。
 日も暮れて上原知子さん、大工哲弘さん……これだけ名手、名人が続いていいのかと思うほどの豪華さ。誰一人として手を抜かない見事なステージに、集まってくださった方々もきっと満足されたことだと思います。
(トークショーとして、照屋林賢&名嘉睦稔両氏のステージもあり)。
 そして4回目のトリは、大城美佐子さん。「前からずっと連絡が来るのを待っていたんですよ」と言われたとおりの、堂々たる歌声でした。
「まちおこしのボランティア・イベント」という一般常識とは異なるレベルの「てるりん祭」。フィナーレは、園田青年会のエイサー! 内容は誇り高く、地元の方々のご理解を得て、地道に進めて行きたいと思った2012.4.4の「てるりん祭」でした。
(「コザ・てるりん祭」プロデュサー)

( 2012/04/12 )

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