ランキンはジャパニーズ・
レゲエDJの草分けであり、今も第一線で活動する。その現場主義は徹底していて、少し前に事故で大ケガを負ってからも「にやにや」しながらライブに登場し、ナンパおやじの失敗を歌い、マジにテロリズムをテーマにする。下世話、馬鹿ばかしさの中に、徹底した反権力思想を忍ばせる。
ランキン・タクシーは優れてインテリであると思う。
7枚目のフル・アルバムとなる『アミシャツ魂』は、文字通り「硬軟」を取り混ぜた彼らしい作品だが、以前よりさらに個性が際立つ。死線からの復帰が、彼を吹っ切れさせたのだろうか? たとえば、15年ぶりにめぐり合った実子を、そうとは知らずナンパしたという「実の娘をナンパ」は、娘さんもゲスト参加しての、平成のバカ歌の傑作だ。
と思いきや「FALLUJAH」は、アメリカこそがテロリストだと正面切って批判する。沖縄・辺野古の基地移転問題を扱った「ネバギバ美ら島」も、今こそポップ・アーティストが取り上げなければならないテーマだろう。腹をくくって、
レゲエやってます、という姿勢が凄い。ヤバ・
レゲエの筆頭「マリファナ音頭」が日の目を見なかったのが、惜しい。
同時期に発売された集大成ベスト『Oyajinal Best』も聞き物。ヘビー・ダンス・ミックス『Hemo + Moofire presents INDIAN SUMMER』(Bacchanal45)にも「ファルージャ」が入っている。
(藤田正)
amazon.co.jp-『アミシャツ魂』(2005年7月20日発売)
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