ずいぶんと寒さが増した渋谷だったけど、会場となったAXは心に春がやってきたような温かい景色がそこにあった。
Mr.マン・フロム・ワレイカ…レゲエ・トロンボーン奏者として日本でもファンの多いリコが、アルバム『ジャパ・リコ』の発売記念としてライブにやってきたのだった。
25年前、スペシャルズのバックマンとして来た時はごく限られた人たちだけが注目したものだったが、この日(2006年11月24日)は、リコを敬愛してやまない日本のミュージシャンがずらりと顔を揃えて、彼らはまた、ちょっと驚くくらいにいい演奏を聞かせてくれたのである。
リコはレゲエ・インストの名作『マン・フロム・ワレイカ』をかつてリリースし、その評判がずっとレゲエ・ファンの世代を越えて生き続けている人だ。今回のライブも、『ジャパ・リコ』と同じように日本のバンド、ミュージシャンがバックアップしていて、想定外(?)のゲストとしては東京
スカパラダイス・オーケストラもバリバリの力演をするなど(もうけもの!)、リコのあの優しい人がら、あの優しいトロンボーンの音色がレゲエ・ジャパンに与えた影響の大きさを教えられた。
リハーサルのツメの甘さが露呈するところなど、ご老体リコさんのミスはいくらでも指摘することができるが、舞台のサポート・ミュージシャンもお客さんも誰一人としておこっちゃいない。「それでいい」「リコが見たい」…のであった。
そして、こういうあったかいウェルカーム!状態を作った土台は、実は日本のミュージシャン側にあって、特にリコのバックを担当したジャングル・ルーツ・バンド(3ホーン、1エンジニアの計10人組)の、的確かつ重量感ふれる演奏には、ジャパン・レゲエの成熟度を存分に感じることができた。
いいコンサートを見せてもらいました。
(文・藤田正)
*それにしても
ランキンTAXI、ジャパン・レゲエには大事な存在なんだから、カラダだけは大切にしてくれよ。
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