かつてのフォーク・ブームの中で、幅広いレパートリーと洗練されたハーモニーで一時代を築いた「
赤い鳥」のコンプリートが2月に発売される。
赤い鳥は60年代の末に兵庫県で結成されたグループで、それ以前、リーダーの後藤悦治郎は英語のカバー曲を得意としたグループで活動していた。このような洋楽的、しかも都会的なセンスが
赤い鳥の下敷きにあったからこそ、「
竹田の子守唄」や「翼をください」などの不朽の名作が生まれたと言ってもいいだろう。
美しいボーカルを聞かせる2人の女性、これにからむ男性3人。アコースティック・サウンドを基調とした
赤い鳥は、70年代初頭に大人気を獲得したのち、その後の日本を代表するドラマー、村上“ポンタ”秀一らを擁するフォーク・ロック・バンドへと発展する。
赤い鳥の活動は70年代前半で終わってしまうが、彼らが歩んだ道は、その後の日本のポップ・ミュージックの指針ともなったのだった。
今回の全集には、
赤い鳥の原点である「
竹田の子守唄」が、インディーズ時代からもふくめた8バージョンすべてが収録されているのも画期的であり、歌と表現の自由、そして
人権についても考えさせられる貴重な作品となった。