そんなヌスラットの柔軟な姿勢は、本アルバム『ファイナル・スタジオ・レコーディングス』のプロデュースを、
ビースティ・ボーイズを世に出したリック・ルービンが担当していることでも窺える(日本盤は2001年8月発売)。
ただし『ファイナル…』は、『スワン・ソング』のような「挑戦的な」アルバムではな、く、ベイシックな伝統的セット。そして、『スワン・ソング』ではボーカルの衰えを指摘されていたヌスラットだが、こちらでは見事に「甦っている」。
40代で惜しくも亡くなったヌスラットだが、彼が欧米各国(そして日本)を精力的にツアーして周った約10年の活動は、イスラムの教えから発生した音楽が、いかに豊かであるかを数多くの人々に知らしめたと言えるはずだ。
日本では最新盤となるこの『ファイナル…』(アメリカ録音)は、この時期に、異文化を改めて考えなおす最適の1枚と言えるはずだ。
(おわり)
Nusrat Fateh Ali Khan
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