いかにも1960年代半ばのニューヨーク、スパニッシュ・ハーレム、そう"El Barrio"から届けられたサウンドなのだ。ジョー・クーバ(またの発音をキューバ)はプエルトリコのご両親から生を受けたのに芸名は英語のJoeプラスCubaを名乗って、
ブーガルーという「ラテン+R&B」サウンドで大金を稼いだ。つまりずっぽり「混ぜ物」のスターだったわけ。しかし茶葉やお酒でもそうだが、各種上手に混ぜてこその「うまかもん」でしょ、クーバのコンボはここにユーモアと小気味よさを加えて1曲1曲を仕上げていったのだ。66年の本作は表題曲「バン・バン」などの
ブーガルーが何よりの売りだけど、彼のセクステットはバイブを加えての、スピーディに小粋にピリリのストレイトなラテン・ダンスがすっごくいい。「La Malanga Brava」(vcl.がチェオだ!)「Que Son Uno」「Cocinando」…これにストリート系泣かせのボレーロね。曲調もバランスよく、気持ちいいアルバムです。
(文・藤田正)
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『Bang! Bang! Push, Push, Push/The Joe Cuba Sextet』
*お報せ:V2/コロムビアから送られてきたこのCDのテスト盤に、ノイズがありました。私が発見したのはトラック7「Asi Soy」です。同社に問い合わせたところ、契約会社から届いたマスターの段階から入っていた音だとのことであり、そのまま発売することにしたとのことでした。「マンボラマTokyo」ではこの日本盤を推薦しましたが、とても残念なことです。ご購入の際はご注意ください。
(藤田正)