6週間もの全米ツアーを追ったドキュメント『ジプシー・キャラバン』公開
Uplink
 アップリンクが公開を予定している『ジプシー・キャラバン』が面白い。
 かつて、ロマ(ジプシー)の人々がインドから長い旅に出たことは少しずつ知られてきた。ロマを象徴する文化といえば、音楽やダンス。その広域に散らばった仲間たちを一堂に集めツアーする模様をとらえたのがこの映画だ(監督、ジャスミン・デラル)。
 登場するのは、日本でもファンの多いルーマニアのタラフ・ドゥ・ハイドゥークス、同じくファンファーラ・チョクルリーア、スペインのアントニオ・エル・ピパ(フラメンコ・ダンサー)と彼のアンサンブル、マケドニアのエスマ(ジプシーの女王と呼ばれる歌手)、そして「故郷」であるインドの砂漠からはマハラジャという歌とダンスのチームである。 カナダをふくむ北米各都市をまわる長いツアーの中で、それぞれが徐々に親交を深めてゆく姿も面白く、その合間あいまに、彼らの地元での生活がはさみこまれる。それぞれが長い弾圧と差別の中で自分たちの「生」をたくましくしてきたことがよくわかる構成だ。
 世界はジプシーに学ぶべきだというエスマの意見が胸に迫る。私たちは、迫害も差別も戦争も起こさなかった民族(ずっと虐げられてきただけなのだ)、と彼女は言うのである。
 タラフの人気バイオリニスト、ニコラエ老の遺体をたくさんの親族・仲間が見守る夜伽(よとぎ)のシーンが映画の「フィナーレ」となって、涙をさそう。
 残念といえば、各グループの歌とダンスを丸1曲、楽しむことができないことだ。監督はあくまで人間のドキュメントと考えているようだから、本作を「音楽映画」だと思って観ると…期待はずれ、となるだろうな。   
Uplink
Uplink
Uplink
Uplink
 2007年12月か翌1月の公開予定。
(文・藤田正)
『ジプシー・キャラバン』
http://www.uplink.co.jp/gypsycaravan/

amazon-『バンド・オブ・ジプシーズ/タラフ・ドゥ・ハイドゥークス』
amazon-『Baro Biao: World Wide Wedding/Fanfare Ciocarlia』
amazon-『エスマの自叙伝/エスマ』

( 2007/11/16 )

テックス・メックスの巨星、スティーブ・ジョーダンさん、逝く
本日の「第2回 コザ・てるりん祭」、雨天でも決行!
ママ・アフリカ、ミリアム・マケバさんが亡くなる
アイザック・ヘイズさん、65歳で亡くなる
炎天下の「海の日、サンゴの日」、無事終了!
「第2回船浮音祭り」は各地から400名を集めて大成功
不朽の名ベーシスト、カチャーオ・ロペスさんが亡くなる
「奄美の応援団」が発足:NHK紅白歌合戦に奄美の歌を出そう
今、全米で一番に知られているシンガーって誰よ…Kristen or Ashley Alexandra Dupre
live「島唄情け唄〜知名定男・大城美佐子 二人唄会」
ロマ(ジプシー)
ひばり、そして『対論 部落差別』(組坂繁之、高山文彦)
映画もCDも大好評『ラッシュアワー2』
あの昭和20年:日本の敗戦と世界の音楽
成長する歌姫・今井美樹
「アメリカ人にとっても最後の未知・テキサスの辺境音楽」 
ギリシャが生んだ新世代のテノール、M・フラングーリス
「ボクの好きなスウィング音楽」
11月25日 しょうちゃんの蛇に三線/藤田正
これぞラテンNY/ストリート系:初来日のジョー・バターン
フラメンコ・ギターの旗手、トマティートのギターが冴えわたった
小沢昭一が訪ねた道の芸・街の芸
現代版組踊「大航海レキオス」(1):アジアを疾走する風
6週間もの全米ツアーを追ったドキュメント『ジプシー・キャラバン』公開
こんな音楽を聴いて欲しい! 連載10
Beats21だけの全曲解説『モア・ザン・マンボ/ジ・イントロダクション・トゥ・アフロ・キューバン・ジャズ』
「マンボラマToyko」推薦CD:ジョー・バターンのアルバムが続々
だるまやの、こんな音楽を聴いて欲しい!・7
黄金のヒットメイカー、阿久悠の世界・其の二
チャーリー・ヘイデン・ストーリー
MBS「はやみみラジオ」から:山口百恵はなぜ[伝説]であり続けるのか?
黄金のヒットメイカー、阿久悠の世界・其の一
こんな音楽を聴いて欲しい! 連載5
「マンボラマToyko」推薦CD:エディ・パルミエリの傑作4点、ついに発売!
あまりにもヒドい、差別記事:『別冊BUBKA』12月号
孤高の太陽、タジ・マハール『ハナペペ・ドリーム』
豊年祭[沖縄]
イギリスでチャート1位! マリワナでヘロヘロ「賛歌」
市川捷護(『ジプシーのうたを求めて』プロデューサー)
第1回「ワールド・ミュージック賞」にタラフ・ドゥ・ハイドゥークスらが受賞
琉球チムドン楽団(沖縄)
表紙へ戻る