8枚目となるCKBの最新盤。「世界はおれを待っている。東洋一の働き者さ〜」…トラック2「ハマのアンバサダー」で、横山剣はこう歌い出すわけだが、この人の大言壮語(というほどでもないが)は、浪曲師のようなそのダミ声とブレンドされた時、どこか馬鹿な男っぽいユーモアを含んだニュアンスを生み出す。
そして…「東洋一の働き者」って、とうぜん
ジェイムズ・ブラウンの名文句からの遠い引用なのだが、この日本語の響き自体に、時代を後ろに振り返ることの面白さを横山がよくわかっていることを感じ取ることができる。もちろん、ただ振り返るんじゃなくて、どのように、いつの、何を、引っ張ってくるかが問題であって、彼はこのアルバムでも地元の横浜のダウンタウンな国際性や、一時代前のファンク・ミュージックや日本のグループ・サウンズや三味線歌謡をブレンドすることの「新鮮な古さ」を提案してくれる。
地元の
fire ballやラッパガリヤの起用もぴったりで、日本の歌謡曲として、一番に心気安く(特にあの「洋楽の60〜70年代」を体験したオヤジ派年長組にとっては)聴ける1枚と言えるだろう。もちろん「HONOLULU BBQ」のように、エロおやじ丸出しの歌も、健在。
(藤田正)
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『GALAXY/クレイジーケンバンド』