西田敏行の最新作『ゲロッパ！』（井筒和幸監督、シネカノン）が素晴らしい。
　ジェイムズ・ブラウン（写真）に心酔する関西ヤクザの親分（西田）が、ム所入りする直前のドタバタを描いた映画だが、エンターテインメントとはこういうものだと言わんばかりの井筒イズムが充満する、歌あり笑いあり涙ありの盛りだくさんの内容だ。
　主演の西田は、３月３日に急性心筋梗塞で倒れたが、映画の題名どおり（そしてジェイムズの歌のように）すっくと立ちあがってくれることを願いたい。　　
『ゲロッパ！』は、西田のほかに、20数年も別れたままの娘「かおり」役として常盤貴子が、そして弟分として岸部一徳が登場する。またチンピラのマングースの太郎役には『夜を賭けて』で好演した山本太郎が、女性タクシー運転手には寺島しのぶ、ナゾのお兄ちゃん役にはナイナイの岡村隆史……と、個性的な布陣で固めた作品である。
　音楽（ミュージカル）映画とはかくあるべしという主張すら込められているのではないかと思うほどに、JBを中心としたソウル・ミュージックの使い方も見事であり、西田を筆頭とする出演者もそろって熱演だ（ダンスも）。特に西田の泣き笑いの演技は、最高。
　この夏、素敵な音楽映画として『ホテル・ハイビスカス』（中江裕司監督）と「対決」になること必至だろう（2003年夏公開予定）。

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