秀作「ばらの花」がヒット中の「
くるり」が、2001年2月21日、『TEAM ROCK』をリリースする。「TEAM ROCK」「ワーダーフォーゲル」「LV30」「愛なき世界」「ばらの花」ほか11曲入り。メジャー・デビュー当時から将来を有望視されていた彼らの、実力を発揮した作品になった。
3曲目の「LV30」にマンドリンが挿入されている。気だるそうな、朦朧(もうろう)としているようなサウンドの中で、象徴的にこのつま弾きが出てくる。沖縄の「
りんけんバンド」が、彼らが開発した新楽器「チェレン」を使う時と、そっくりのシチュエイションである。
彼らが
りんけんバンドをマネようとしたとは思えないが、
くるりは、ロックというすでに定着してしまった意匠(デザイン)の中に、何気なさそうに「異物」を投げ込むのが上手い。小池に石を投げ込んだ時にできた幾重もの水の輪を、パステル調に描き分ける策士。話の筋書きよりも、歌全体からメッセージを浮き上がらせる手法。『TEAM ROCK』は、ストレート・パンクから古いディスコまで目まぐるしく型は変わるが、目には見えない一貫性を皮膚感覚で伝える優れたロック・アルバムとなっている。