70年代まで、ソウル・ミュージック、あるいはリズム&ブルースといえば、必ず名前が挙がったのがオーティス・レディングである。1967年12月10日、彼は、人気絶頂の時に飛行機事故でこの世を去った。
これまでオーティスには数多くのアンソロジーがまとめられている。この『リスペクト〜ヴェリー・ベスト・オブ・オーティス・レディング』は、その最新の1枚である(2枚組、デジタル・リマスタリング)。
スタックス・レコードからの出世作「ジーズ・アームズ・オブ・マイン」(63年にチャートイン)から、「リスペクト」、ローリング・ストーンズの「サティスファクション」、「ザッツ・ハウ・ストロング・マイ・ラブ・イズ」、「アイブ・ビーン・ラビング・ユー・トゥ・ロング」、ラスト・ソングとなった「ザ・ドッグ・オブ・ザ・ベイ」(68年に全米チャート1位)ほか代表的な歌を中心に計40曲が収録されている。
映画『ブルース・ブラザーズ』で聞ける音楽の時代、と言えばいいのか、バックの演奏は映画にも出演していたブッカーT&ザ・MGズほか60年代メンフィス・ソウルの中核を担った人々だ。
オーティスは彼らの、的確で、まるで無駄のない満点の演奏リズムをバックに、「ダイナミック」という形容がぴったりのボーカルを聞かせてくれる。また、切々と訴えかけるバラード、絶妙のリズム感を披露するリズムもの、そのどちらにも、優しい人柄だったという性格が透けて見えるのも、彼の名を不朽のものとしている理由だろう。
なお、CD2の9曲目「Come To Me」は、別人の録音。Beats21がイーストウエストに問い合わせたところ、2001年1月の段階では、洋盤邦盤ふくめて、差し替えアルバムの準備中とのことだった。