在日シンガー、趙博の傑作CD2枚組『彼処此処』
SAMP22020〜21
大阪は西成生まれの在日2世、
趙 博
(
ちょうばく
)
のライブ『
彼処此処
(
おちこち
)
』は、これぞ
メッセージ・ソング
というべき充実とした内容で聴かせる作品だ。
趙博は関西を中心に精力的に活動を続けるシンガーで、いわゆるメジャーとのつながりをずっと否定してきた気骨の人である。そんな彼の第6集となるアルバムが本作。バックに参加した板橋文夫らのジャズマンのサポートも的確だ。
朝鮮
の楽器とジャズの即興で幕を開けるこのアルバムは、ジャンルをまるで問わない選曲がとにかく面白い。基本は趙の生ギターと彼の男性的なボーカルだが、ある時は
浪曲
をうなり、ある時は沖縄の
島唄
があり、ジャズや演歌まで飛び出す。
島唄
は戦争の悲惨を訴えた「艦砲ぬ喰ぇぬくさ」であり、ジャズは黒人へのリンチをテーマにしたビリー・ホリデイの歴史的作品「
奇妙な果実
」である。美輪明宏の「
ヨイトマケの唄
」もある。
どれも名作だが、こういう歌う本人の姿勢を痛烈に問われる作品を堂々と取り上げ、歌い切れるというのは素晴らしいことだ。
「朝日のあたる家」「石狩挽歌」、あるいは3カ国語で歌われる「イムジン河」も、彼の自作である「橋」もいい。
自主制作なので一般のCDショップには並んでいないが、以下のネットから送料込み3800円で購入できる。
Beats21推薦CD『彼処此処/趙博 第6集』 http://www.fanto.org/postmail/ochikochi.htm
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