ヒップホップに生バンド〜ライブ・リズムの新鮮を提案したことで知られるのがザ・ルーツだ。オリジナル・アルバムとしては6枚目になる『ゲーム・セオリー』は、デフ・ジャムへ移籍しての1作で、同レーベルの代表でもあるジェイ・Z(ショーン・カーター)のバックアップを受けて製作された。
これまでの売りの一つであった「ジャズ」の要素が少ないからツマらん…といった不思議な批判があるようだが、これはよく出来たヒップホップ-R&Bアルバムで、ザ・ルーツは黒人下層社会からの視線を捨てることなくピリっと辛いラップを聴かせてくれる。
特にエイト・ビートを基本とするドラミングに乗せたトラック2からのバリエイションの数々は、玄人好み、と言ってもいいかも知れない。シンプルに徹しようとしているからこその「味」だ。
この2月に亡くなったJ・ディラ(ジェイ・ディー)を追悼したラストの組曲「Can't Stop」もいい。2004年の『ティッピング・ポイント』以来、約2年ぶりの作品。
(藤田正)
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『ゲーム・セオリー/ザ・ルーツ』