沖縄の生活と戦争は切り離せない。「観光立県・沖縄」のもう一つの顔が、米軍支配であり戦争である。2004年8月の米軍ヘリの墜落事件、2005年7月の米兵による少女「いたずら」事件、そして、終わることのない米軍基地移設のウソ…。町村信孝外相ともなると、意を決して米兵に性的暴行を受けた実体験を公表し基地撤廃を訴えた女性に対して「米軍と自衛隊があるからこそ日本の平和と安全が保たれている側面が、すっぽり抜け落ちている」と女性に反論する始末だ(2005年7月)。繰り返す…沖縄の生活と戦争は切り離せない。
U-DOU & PLATY(ユードウ&プラティ)、略してユープラは、そんな沖縄の日常をありのままに描き出す。レゲエDJの2人は、このジャンルでは最も注目の存在だが、何も格別に政治的なわけではない。クラブ通いも女の子も大好き、そのアヤマチも数々というトホホ話はこのファースト・アルバムでたっぷりと語られるが、そんなウチナーの都市生活にもう一つ、欠かすことの出来ないのが「植民地としての沖縄」である。彼ら自身、ライブでも「沖縄は植民地だ」という。すごく誠実で、ウソのない言葉だと思う。普通に沖縄で暮らしていると、そう叫ばずにいられない。だからこそ、彼らは「コザ暴動」「ワジワジする」「さとうきび畑のうた」を録音した。戦争と支配。その暗雲の中に生きる、二人の明るさ。古謝美佐子の「黒い雨」と並ぶ、2005年の大きな収穫と言えるだろう。
なお「ワジワジする」(米軍支配・暴力に対して、ムカムカする、の意味)は、ボブ・マーリーの中でも最も過激な1曲「スモール・アクス」が原曲。これこそ、レゲエの本領である。 (藤田正)
*ユープラは、2005年9月25日@日比谷野外音楽堂で開かれる「琉球フェスティバル」に出演が予定されている。
amazon.co.jp-『Vibes UP』(2005年8月3日発売)
琉球フェスティバル(チケット一般発売は2005年7月22日から)
http://www.mandicompany.co.jp/