1曲目の「ザッツ・オール・ライト」は、ブルースマンのビッグ・ボーイ・クラダップがオリジナルだが、今ではプレスリーのデビュー・シングルとしてあまりにも有名な歌。
バックには、スコッティ・ムーア、D.J.フォンタナというプレスリー・バンドの重要人物も参加し、マッカートニーは初期ロックンロールのテイストでサラリと歌い切っているのが、なんともすごい。
2曲目はジェフ・ベック&クリッシー・ハインドの「ミステリー・トレイン」。
この歌のオリジナルもジュニア・パーカーという素晴らしい黒人シンガーの代表作だが、やはりプレスリーの録音の方が有名。汽車が蒸気を上げて爆走するイメージをリズム化したこのブルースを、クリッシーはしゃくり上げるロックンロール独特のヒーカップ唱法でこなしてみせる。ジェフ・ベックの自在なギターも見事だ。
3曲目は、ペイジ&プラントというレッド・ツェッペリン組による「マイ・バケッツ・ゴット・ア・ホール・イン・イット」。サンではサニー・バージズが録音したもので、二人はアコースティック・セット&コーラス・グループという(これも当時の匂い充分の)セットで聞かせる。ちょっとしたフレーズにも、単なるコピーを超えた深みを聞くことができる。
フランスからはエルビス・フリークとしても知られるジョニー・アリディが4曲目で「ブルー・スェード・シューズ」を。5曲目では
エルトン・ジョンが「ホール・ロッタ・シェイキン・ゴーイン・オン」を歌う。エルトンの、ピアノを叩きつぶさんばかりに(リズムが走るのもお構いなく)疾走する姿は感動ものだ。