小柳ゆき『my all...』
HDCA10065
 小柳ゆきの新作『my all...』(イースト・ウェスト)は、ボーカリストとしての彼女の資質がどれほどのものであるかが明瞭にわかるアルバムに仕上がっている。リリースは2001年5月30日。
 1曲目はタイトル・ソング。クラシカルなソウル・バラードの典型のような曲調で、だからこそ(極端に言えば)彼女のボーカルの味わいだけが勝負となる。しかし、華奢な肉体から搾り出しているとは思えないような堂々とした歌声は、さすがだ。
 2曲目は先行シングルの一つとなった「Deep Deep」。サンバ調ディスコである。この歌は、へたをすればTUBEではないかと思うような曲調だが、小柳のボーカルがエネルギーあふれる、ソウルフルな歌世界へ連れてゆく。
 歌はボーカルが何よりも大切であるという、当たり前の事実をつくづく分からせる小柳であり、アルバム『my all...』である。
east west
 プロデューサーのHarry Yoshidaは、プロモーション用の制作ノートで次のような文章を残している。
 「アルバム『my all...』は、さまざまなアプローチで小柳ゆきのヴォーカルの魅力を引き出すことに成功した、楽しくかつ冒険的なアルバムです。
 他のシンガーと一線を画す圧倒的な歌唱力、特に感情表現のたくみさ、曲にあわせて声の明るさを変化させる、コントロールされた完璧なヴォーカルスタイルを、19歳にして早くも確立しつつあります」
 H.Yoshidaの意見は正しい。ミディアムのヒップホップ調で切々と歌いあげる「MEN?」、80年代初頭のレイ・パーカーJr.全盛期のR&Bっぽい「CROSS OVER」、SAKURA(曲)と小柳の共作となる「Cry」と、すべてはR&B〜ソウル系ではあるが、さまざまなバリエイションを聴かせる彼女のボーカルには強い説得力がある。
 若干19歳にもかかわらず、バラードからアップ・テンポまで、きっちりと歌い込むことのできる正統派ポップ・シンガーとして地位を固めつつある小柳。
 『my all...』はその代表的な作品となるはずだ。
 

( 2001/05/25 )

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