小柳ゆき「beautiful world」「DEEP DEEP」
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 小柳ゆきが「DEEP DEEP」と「beautiful world」の2枚のシングルを同時に発売した(2001/04/25)。
 「DEEP DEEP」がサンバ風のダンスものであるのに対して、「beautiful world」はバラードである。歌の内容は「新しい世界に、私を連れてって」という、新しい恋人との出会いをテーマにしたものである。
 小柳による詞は何か格別なものがあるわけではない。それよりも小柳ゆきというシンガーが「空へ舞い上がる」ための滑走路として詞を使っているだろうなと思わせる。ささやきに近い発生から、ノドを全開してうたい上げるサビの部分まで、彼女の声の幅広さを聞かせる歌である。
 同シングルに別トラックとして収録されたバージョンは、「LOVER'S ROCK PARTY」とサブタイトルを付けたレゲエだ。そのモチーフはボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ。シンセ・キーボードの音色やコーラスほか、ずいぶんイナタいサウンドに仕上げている。70年代後半のウェイラーズのようにエレキ・ギターのソロが登場するのにも驚いた。
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 トラック2の「give me a chance」は、ミディアム・テンポのディスコで、彼女のその華奢な体格からは想像できないバリバリに前へ出たヴォーカルを聞かせる。
 この詞も彼女の手になるもの。やはり歌のための滑走路的に歌詞を使っているように思える。もう少し彼女が「落とし所」や「フック」を考えた詞を作るようになれば、音楽全体の色合いももっと深くなるはずだ。
 同時発売の「DEEP DEEP」(写真)は、「beautiful world」のレゲエ版のように泥臭さを強調したサンバ風ディスコだ。私の体があなたを求めているという内容が「ディープ」というネイミングにつながっている。ボーカルも力強い。
 小柳ゆきは、ダンスものであれバラードであれ、綺麗にまとめようとせずに自分をさらけ出す方向でうたうと、ちょっと他にはない迫力を生み出すことが、この曲でもわかる。
 続くバラードの「wishing well」も同様にいい。「beautiful world」と変わらないスタンスに見えるが、気合いの入り方が大きく異なっている。ライブで聞くと相当迫力がありそうなバラードである。
 

( 2001/04/27 )

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