スパイク・リー監督のドキュメンタリー『When the Leeves Broke.A Requiem in Four Acts』が完成した。
題名『堤防が決壊した時』が示すように、ハリケーン・カトリーナの被害をフィルムに収めたもので、上映時間が255分もあるという大作だ。リー監督は、第63回ヴェネチア国際映画祭にこの作品を携えて登場し(2006年9月1日)、この大被害に関するブッシュ政権への怒りをぶちまけた。
『When the Leeves Broke.A Requiem in Four Acts』は、もともとがアメリカのHBOテレビで放送された4回の連続番組を1本の映画にまとめたもので、救援にかけつけた俳優のショーン・ペンら有名人へのインタビューや、当時のニュース映像も交えている。
HBOドキュメンタリー・フィルムズによるインタビューでリー監督は、次のような発言をしている(抜粋/要約)。
<…カニエ・ウェストが言ってるように、ジョージ・ブッシュは黒人のことなんか心配していない。多くの人たちは(カトリーナの災害は)人種と関係ないと考えてるけど、階層の問題としてずっと関連があることなんだ。貧しい階層に位置づけられ人たちの膨大な数。もし彼らが投票したとしても、とにかく共和党じゃないね。(だってあの時、政府要人の)みんなが休暇中だったんだ。人々が溺れてる時に、ライスさんはニューヨークのマジソン街でフェラガモの靴を買ってたし、そのあと彼女は「(Monty Python's)Spamalot」(2005年トニー賞受賞)へお出かけだ。チェイニーもバケイション。ブッシュもバケイション。で、その大統領が休暇を切り上げた時も、彼は
ニューオーリンズへ直接、飛んで行こうとはしなかった。メキシコ湾岸地域にもだ。彼は大統領特別機(エア・フォース・ワン)のパイロットに上空を視察するよう命じただけった」
リー監督は、この発言に続けて、1965年に発生したハリケーン・ベッツィーの被害に際してのリンドン・B・ジョンソン大統領の対応と、ブッシュ大統領のそれとは対照的だと激しく批判している。
ニューオーリンズの8割が洪水でむちゃくちゃになったのも、カトリーナの直接的な猛威ではなく、堤防の決壊が主原因であるとも(堤防が磐石でないことは、以前から指摘されていた事実)。
リー監督は、『When the Leeves Broke.A Requiem in Four Acts』を観て、アメリカ人が、この大災害が何によってもたらされたかを、いま一度考えてほしいと語っている。
スパイク・リー・インタビュー@HBO:
http://www.hbo.com/docs/programs/whentheleveesbroke/
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