ニューヨークのスパニッシュ・カルチャーを描いて注目のレオン・イチャソ監督の新作『エル・カンタンテ』の主だったラインナップが発表された。
サルサを象徴するとまで言われた歌手、
エクトル・ラボーの波乱の人生に取り組んだこの作品(2006年)は、現在最終的な編集作業を行っている模様。
ラボーを演ずるのは、ラボーと同じプエルトリコ出身のスター、マーク・アンソニー。ラボーの妻、プチを演じるのはご存知ジェニファー・ロペス。アンソニーとロペスは、実生活でも相思相愛だが、二人は同郷の先輩であるラボーを共に尊敬しており、今回は相当の気合を入れて演技に取り組んだと言われている。
2006年1月からニューヨークとプエルトリコで行われた撮影はすでに終了しており、興味深いキャストは、以下のように発表されている(抜粋/変更の可能性あり)。
ファニア・レコード代表、ジェリー・マスッチ役:フェデリコ・カステルッチオ
同じく共同経営者&バンマス、ジョニー・パチェーコ役:ネルソン・バスケス
大手プロモーター、ラルフ・メルカード役:ビセント・ラレスカ
ラボーと共に歩んだ相棒、
ウィリー・コローン役:ジョン・オルティス
ウィリー・コローンの恋人役:Deirdre Lorenz
ラボー・バンドのピアニスト(ジョー・トーレス?)役:Hector A. Leguillow
……といったぐあいだ。
プエルトリコ音楽の味わいを
サルサの中へたっぷりと盛り込み、一時代を築いたラボー&コローン。ラボーは、薬物中毒がたたり自殺を繰り返し、そして不遇の死を遂げた。
「ラテン・ニューヨーク」を描かせたらこの人と言われるだけに、イチャソ監督が70年代
サルサの絶頂期をいかに映像化するかが期待される(日本公開未定)。
またイチャソ監督の名前を知らしめた作品『クロスオーバー・ドリーム』(1985年、写真)も、この夏にDVDとして日本で発売された。ラボーに続いて
サルサの大スターとなったルベーン・ブラデスが主演したこの作品、成功を夢見てラテン・ワールドを抜け出したシンガーに待っていたのは、深い挫折だった…。
テーマとなっている
サルサ世界だけでなく、「アメリカン・ドリーム」の裏側を知るにはかっこうの一作だ(
マンボラマTokyo推薦作品)。
もう一作、ストリート詩人、ミゲル・ピニェーロの破滅的なライフスタイルを追った『ピニェロ』(2001年)もDVDで発売されている。ピニェーロもニューヨークに暮らしたプエルトリカンで、犯罪、麻薬などストリート・ライフにひたりながらドラマチックな詩を書いた。今、東京でもちょっとおしゃれなポエトリー・リーディングがプチ流行っているようだが、その原型の一人がこの人。生々しさという点では雲泥の差がある。主演、ベンジャミン・ブラット(
マンボラマTokyo推薦作品)。
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DVD『クロスオーバー・ドリーム』
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DVD『ピニェロ デラックス版』