ジル・スコットを世に送り出したヒドゥン・ビーチ・レコードからデビューしたサックス・プレイヤーがマイク・フィリップスである。
まだ20代のようだが、彼はこれまで
ミッシー・エリオットや
ベイビーフェイス、
マライア・キャリーらたくさんのトップ・シンガーのバックで演奏しており、このアルバムは満を持してのデビュー作ということになるだろう。
70年代のファンクからヒップホップに至るサウンド・エッセンスを土台にながら、そのサックスはあくまで柔らかなタッチというのが、彼のやり方のようだ。小さな音で流せばイージーリスニングとして聞ける。しかし、その音の芯の部分は黒い。このあたりがセッションに引っ張りダコになる理由なのだろう。
アルバムでは、自分の名前が盛り込まれたり、出身地であるニューヨークのマウント・バーノンが題名になったりと、ニューヨーカーとしての自己紹介作品としてまとめようとしているともうかがえる。
普遍的ともいえるスウィート・ソウルのテイストでまとめた「BABY CALL」などに、よく「歌う」、ソウルなサックスを聞くことができる。
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