キック・ザ・カン・クルーら日本のポップ・ラップの代表的グループとなった
リップ・スライムの新作が発売される(2002年7月24日)。
アルバム・タイトル、そしてジャケットの江戸の文様アレンジに読み取れるように、
リップ・スライムは東京の下町に対するオマージュを、そのメンタリティの中に持ち続けている。彼らのラップに表われる冗談などの言葉遣いやノリにも、ダウンタウン東京(特に東部)の着飾らない、和やかさがよく出ている。
音楽的には
サルサなどスパニッシュ・ラテンやサンバのリズムを、基本ベースにするのが特徴で、タイトル曲となった「Tokyo Classic」は、プエルトリコのコルティーホ・イ・ス・コンボとおぼしきコンガ・ビートが出てくる(サンプリング・クレジットなし)。
キックが「マルシェ」や「神輿ロッカーズ」などで
メレンゲを効果的に使っているように、リップならば「楽園ベイベー」のサンバと、リズム(音像)のバリエイションの多さがラップの「表現領域」をずいぶんと広げている。
特に今回は、ブルースの
マディ・ウォーターズの名作「マニッシュ・ボーイ」を、KYONのバンドをバックにつて、そのまま(ストーンズ風に)やっているのも、「ラップはかくあるべし」という束縛から逃れていて面白い。