津軽三味線のアルバムで、パッケージの中に特典ミニ・カレンダーが入っている(初回限定)。前代未聞、というところだろうか。
1977年生まれの良一郎、79年生まれの健一による
吉田兄弟のセカンド・アルバムである。
二人とも津軽三味線の大会で優秀な成績を収めた経歴を持ち、99年に二人そろって『いぶき』でCDデビューを果たした。『いぶき』は、半年で4万枚売り上げたそうだから「民謡界」では驚異的なスターの登場なのである。
津軽三味線は「風雪に耐え抜いて」という解説が一般的である。故・高橋竹山をはじめてとしてそれは間違ってはいないが、いっぽうで、津軽の三味線ほど「けれん」「ギミック」を多用し、その「おうぎょう」ぶりを確固たる美学にまで持ち上げた音楽も珍しいということを、我々は見逃してはならない。
エグいのである。そのエグさは、北国をさすらった流浪民の魂である。
吉田兄弟にも、若々しい演奏の中から、そんな匂いが立ち上っている。ペルーの木箱(カホン)と共演したダンス・ナンバー(?)「あゆみ」にしても、いかにも今風であり、同時に、さすらう人々の口笛が聞こえたような瞬間が綺麗だ。
収録曲:あゆみ、唸風(てんぷう)、津軽よされ節、津軽小原節、湧水、津軽じょんから節 ほか。