ジェフ・バックリーは1994年、名作『グレース』でデビューし、人気が本格的になろうとしていた97年に30歳の若さで亡くなっている。
ノドから魂をえぐり出すような激しい、熱情のボーカルは今でも多くのロック・ファンの記憶に残っているが、この『ライヴ・イン・フランス』は、そんな人たちの渇きに充分応えることのできる素晴らしい内容である。
録音は、11曲中10曲が95年パリ・オランピア劇場でのライブである。バックリーは、尊敬するエディット・ピアフとジェイムズ・ブラウンが公演したことのあるオランピアで歌えることに特別の感慨を抱いていたと言われるが、このアルバムは、その二人に向かって自分の魂を自らが切り取り捧げているような凄まじさがある。
「Lover, You Should Have Come Over」に始まり、「Kick Out The Jams」をはさみ、あの「Grace」へと続くアルバムだけでも圧倒的。
日本盤発売、2001年8月18日。