「サブカル雑誌」とでも言うのだろうか、あるいはアダルト雑誌? 『BUBKA』の別冊12月号(コアマガジン)に、実に不快な、別の言葉を使えば、人間の尊厳を踏みにじる徹底して差別的な記事が載った。
表紙には「やはりアンタッチャブルなのか? 京都駅近郊に現存 被差別
部落の今を完全レポート」という見出しである。いったいどういうことなのかとページを開くと、「在日
部落」「被差別
部落」とタイトルが付けられ、その地域に編集者と出向いた筆者(小川裕夫)が、「擦れ違うたびに住民からキツい視線が…。怖い。」などと、もう最悪の文章が並ぶのだ。
記事はカラー3ページ。まず金閣寺の写真ページがあり、そこには「そうだ、京都へ行こう…」というタイトルが。このページをめくると、2ページの見開きで写真ルポ記事(?)が出てくるという構成だ。つまり、こんなに美しい伝統のマチ、京都に、まるで正反対な場所があるんですよ…いやはや参った、まいった…という筆致の文章とページ構成なのだ。
なぜこのような地域が歴史的に成立したのか、そして、なぜ今も残らざるを得ないのかという肝心な部分を、まったく無視し、悪意丸出しの偏見だけで写真を撮影し、文書を書く。ふざけるな!
日本全国、どこの地域にも、人が住まなくなったような古びた家があるものだが、わざわざそのような写真を撮影し(地域の子どもまで写っている!!)、「(前略)京都の伝統的な建物とは違う汚いボロ家が高瀬川沿いに並んでいる。」などと、偏見を煽る言葉が羅列されている。
また一例として、京都の伝統的な工芸が、在日の人たちや被差別
部落民の耐えることのない尽力なくして成り立たなかった、という事実も指摘することなく、長年の解放運動によってようやく獲得した銭湯やアパートを指して、「同和利権」と片付ける始末だ。
かつて京都で、「オールロマンス事件」と呼ばれる歴史的な差別事件が発生したが、これに匹敵するような重大性を『別冊BUBKA』12月号の記事は持っている。
再度言う。ふざけるな!
(藤田正)