Cocco、故郷の沖縄で突然の全面広告/沖縄への愛を初めて書き綴る
Coccoの直筆の手紙から
 故郷である沖縄について発言を避けてきたCoccoが、2001年2月1日付の『琉球新報』(朝刊)に全面広告を出し、話題になっている。広告では、沖縄への深い愛情、沖縄ではこれからもライブをしないであろうこと、沖縄限定シングル&ビデオのセットの発売などを、直筆の手紙で綴っている。
 白紙に書かれた文章は計8枚で、黒い台紙にそのまま貼りつけただけという、ある意味では衝撃的な「デザイン」。
 以下は、彼女の手紙の全文。
 なお「風化風葬」は、2月21日にビクターから発売。スタジオ録音のCDと、2000年10月6日の武道館でのライブを収録したビデオとのセットになる。
 また2月28日から3月4日まで、那覇のリウボウホールで、広告に使われた手紙ほか、これまでのすべての彼女のポスターが展示される(入場無料)。
 愛する沖縄様。
 私が沖縄に対して直接、想いを発するのは初めてです。私はずっと沖縄を避けてきました。Coccoという歌い手になってから沖縄を避けてきました。「避けていた」というよりは、「近づけなかった。」です。
 沖縄はあまりにも強くて、そして美しく、眩しくて、私の目はつぶれてしまいそうでした。このまま目を閉じてしまおう。と何度も想いながら、いつも目を回して沖縄の空の下を歩いてました。それでも私は目を開けたかったです。私は逃げるように沖縄を飛び出しました。バカみたいに沖縄が好きでした。今なお想い焦がれています。あまりにも好きな人とは目も合わせられないのと多分、同じです。
 それでもやっぱり今までに何度も沖縄に帰りました。「Cocco」としてではなく「こっこ」として。沖縄に「Cocco」を持ち込んではいけないと決めていました。「沖縄人こっこ」と「歌手Cocco」は別だと想っていたからです。
 沖縄に歌手Coccoは必要ないと想っていました。
 私の中にそういう線引きがありました。
 私の沖縄に対する想いを、まわりのスタッフはよく理解してくれていたので、今回のライヴツアー中に私が沖縄限定のCDを出したいと言った時は、みんな驚いていました。
 私も驚いています。デビューして3年かかりました。歌手Coccoと、沖縄人こっこの境界線がなくなるまで3年かかりました。どちらも自分だと認められるまで3年かかりました。
 そして3年間、毎日、沖縄を想っていました。私はいつも沖縄を想っています。あの光を忘れたことはないです。あの空と海が褪せる事はなかったです。それでも、沖縄はいつも遠かったです。
 だけど、遠かったから、私の歌は続いたのかもしれません。届かないから、届くように、いつも祈り、想い焦がれてきたからCoccoの歌はここまでこれたのだと想います。
 私が、これから先、沖縄でライヴをする事はないと想います。私の歌は多分、全てが「沖縄」なので、あまりにも風景と歌が重なってしまうからです。
 私はきっと歌えないでしょう。それはそれはあまりにも眩しくて、夢のようで、美しすぎて、私は歌えないと想います。
 私が雪を歌う時も、私が山を歌う時も、何をどうしても私の心は、沖縄にあります。
 沖縄に、届くように、こんなに遠い場所から声をあげ、手を振ります。
 馬鹿みたいに沖縄を愛しています。
 私には、沖縄を語ることも、沖縄のために歌うことも、不可能です。私が語るよりもっと沖縄は深くて、私は自分のために歌うからです。
 だから、私はきっと、いつも期待には応えられません。ただ、私の心はいつも沖縄にあるということ。確かなのは多分、それだけです。沖縄を愛しく想い焦がれています。
 どうか伝わりますように。
 今回のライヴツアーで「風化風葬」という曲を歌いました。沖縄のためにつくった訳でも、沖縄について歌った訳でもありません。
 私が触(ルビ、さわ)れるほど沖縄は軽くありません。
 ただ、いつも沖縄を想っていました。北海道で歌っている時も、福岡で歌っている時も、やっぱり沖縄を想いました。
 沖縄の光を想っていました。
 そして、私の中でやっと境界線がなくなりました。
 漠然と、この歌を、沖縄の空に、放してやりたいと想いました。
 世の中に、意味のない事なんて、きっとひとつもないけれど、説明できるほど簡単なものばかりではないと想います。だから、具体的になにひとつ言えません。これだけ言葉を並べても、あふれる想いをまとめられません。なにひとつ説明できません。
 ただ、私はいつも、沖縄にとどくように、祈り、声をあげて、ここから手を振ります。
 届かないとしても、私は歌います。馬鹿みたいに、沖縄を愛しています。
 どうか、届きますように。
 愛しています。
100万回のキスを込めて
私の愛する美しい島へ。
Cocco
2000.10

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