2004年7月19日、歴史的なロック・イベントとして知られる「ウッドストック」を記念した、広大な文化施設の着工式が現地で行なわれた。
「Woodstock Music and Art Fair」は、1969年8月に、ニューヨーク市の郊外にある農園(ヤスガーズ・ファーム)で開かれ、約40万人もの人々を集めた。「愛と平和の祭典」というキャッチ・フレーズのもと、ジミ・ヘンドリクスやグレイフル・デッド、サンタナ、ザ・フーなどトップ・アーティストが壇上に立ったが、その奇跡的な成功は、欧米だけでなく日本のロック・ムーブメントにも大きな影響を与えてきた。
1994年と1999年には、往時を記念したイベントが開かれたものの、この場所はある人たちにとっては「聖地」でも、別の人たちにとっては普段は「奇妙な人たちが徘徊する見捨てられた土地」であり、長くその名声を利用した地域開発が望まれていた。
今回「Bethel Woods Center for the Arts」と名づけられた広大な敷地には、2006年に円形劇場や博物館が完成する予定で、2012年までには音楽学校やホテル、会議場が造られる。資金は、土地の所有者であるジェリー・ファウンデイション(NPO)とニューヨーク州の2者が拠出し、音楽を中心とした多目的イベントによる収益を望んでいる。
しかし、円形劇場や博物館が完成する2006年の独立記念日(7月4日)には、オープニング・イベントとしてニューヨーク・フィルの公演を予定していることからも、経営陣は新ウッドストックに「ロックの聖地」を望んではいないようだ。