石垣島出身のシンガー、
新良幸人のソロ・アルバム『月虹(GEKKOU)』が完成した(写真)。
パーシャクラブのリード・ボーカリストだけでなく、アコースティックなセットでも舞台に上る
新良幸人だが、今回はごく限られたメンバーだけの静かでソウルフルな島唄集となっている。
次世代の沖縄島唄は、彼のような存在によって受け継がれてゆくだけに、今回のアルバムは注目である(2003年11月19日発売)。
収録されているのは「月ぬ美しゃ」「安里屋節」といった八重山の名曲だけではなく、「浜 千 鳥」という沖縄本島の歴史的名作もある。どれも非常にていねいなうたい方で、その姿勢からは歌それぞれのエッセンス、歴史性をすべて絞り出そうとしているかのような情熱が、ほの見えるようだ。
「たとえば、有名な宮良 長包さんの『
安里屋ユンタ』の元にあるのが「安里屋節」ですけど、誤解を恐れずにいえば、ぼくはこの『
安里屋ユンタ』にまとわりついている既成の評価とっいったものが嫌なんです。首里(
琉球王朝)の圧制に歯向かったクヤマという女性が、八重山にいたんだ、ということが見えなくなっている。あえて言えばアンチ『
安里屋ユンタ』が、ぼくの『安里屋節』です」